Nintendo Switchソフト「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~」をエンディングまでプレイしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。
まずは評価から。
ジャンルはRPGです。
注意事項として先に書いておきたいのは、前作「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」はプレイしておいた方が良いということ。
前作にも登場したキャラたちの関係性などはすぐにわかるので未プレイでも問題ありません。
が、前作のシナリオ内容や世界設定に関して今作で何度も触れられていたので、この辺りは前作未プレイだとハテナとなるでしょう。
(ぼくは前作プレイ済みです。)
シナリオ内容は、個別のシーンでは良いところもありますが、全体的には盛り上がりにかけラストもさらっと終わってしまった印象です。
作品のサブタイトルにもある、失われた伝承を探る形で遺跡調査を進めて行く。
初っ端の時点でも一部は解明されているのですが、まず初めにここが大問題。
その一部を見ただけでも、そこから終盤どういう展開になるのかが普通に予測できてしまいました;;
単語や表現のチョイスが悪い。それか、この「わかってしまう」部分が解明されるのを中盤以降くらいにすべきだったと思います。
そこからしばらくは、大した事態も起きずただだらだらと遺跡調査を進めて行くだけ。
今作はそこそこのボリュームがあるのですが、全体の半分を超えてもまだそんなことを続けていました。
そして前触れもなく突然に事態発生。
終盤は、まあこうなるだろうなと考えていた通りで新鮮さはなく、良い意味でプレイヤーの予想を裏切るようなこともありません。
ラストシーンは印象的で、良いラストだったと感じる方も多そうです。
ただ個人的には、そこで感情に強く働きかけるだけの前準備が、やや足りていないように感じます。
例えばライザや仲間たちがどれほどの思いを寄せていたのか、それを描写しているシーンをもう少し事前に見れていれば、言うことなしのラストになったんじゃないかなと。
メインのシナリオ内容に関してはこんなところ。
ラストの良さを除けば無難で面白みに欠けるお話でした。
代わりに、各キャラごとのサブストーリーがとてもよく出来ていて面白かったです。
仲間たちや、街中で出会う新キャラなど、優に10人を超えるキャラたちにサブストーリーが存在する。
それぞれのキャラを設定や背景も含めてうまく掘り下げており、どのキャラのお話も丁寧に描かれています。
遺跡調査では、遺跡の欠片というものを集めて回ることになります。
これがなかなかに面倒でした。
まず、遺跡の欠片を集められる状態にするため、羅針盤をその遺跡に慣らす、という手順が先に必要です。
特定の敵討伐や素材採取、宝箱の中身回収などの計5つの条件を達成する必要があるのですが、その条件内容も具体的に書かれているわけではない。
そしてすべての条件を達成するまでに、大抵1つ以上のエリアを最奥まで探索し終えています。
そこから各エリアに十数個散りばめられている欠片集め。
つまり今探索し終えた同じエリアをもう一度見て回らないといけません。
また、通常の欠片は近付けばマップに場所が表示されますが、特殊な敵を倒さないと欠片が出て来ないタイプだと、その敵の位置はマップに表示されたりはしない(目視で探す必要があり見逃す可能性も十分にあり得る嫌な配置も時々)。
細かい例だと、シナリオイベント発生で自動的に飛び降りられたせいで付近の宝箱を回収できず、その宝箱の中身が羅針盤を慣らす条件だったこと。
回収するには大回りして戻る必要がありました。
他には、細い道が長く続き、そこにモンスターが少なくない数配置されていてエンカウントがほぼ避けられなかったこと。
シナリオ進行のために二度、遺跡の欠片集めのためにさらに一度はこの道を通る必要があります。
後は、羅針盤を慣らした後はマップ画面が欠片集め専用のものに切り替わるのですが、これがすごく見づらい。
黒背景に白線で外枠を描いただけのもので、多少複雑な構造をしている遺跡だと、どっちが歩ける場所でどっちが壁なのかといったことが一目でわかりません。
通常マップと切り替え可能も、都度切り替えるのも面倒で手間が増えているだけ。
収集だけでもこのように面倒の多い遺跡の欠片ですが、集めた欠片は自分で穴(メモの空白部分)にはめ込んで謎解きをする必要があります。
各遺跡の遺跡の欠片は全エリア合計で40個前後。
それと同数だけ穴があり、ヒントを見れば解答は難しくありませんが、単純に該当する欠片を探し出して選ぶ作業が大変です。
ぼくはヒントと欠片とを見比べるのが面倒になり、途中からはどちらの情報も一切見ずに総当たりで欠片を穴にはめ込んでいきました…笑
このように、遺跡の欠片集めという要素で良いところなんて全然ありません。
自分が主人公のライザになったつもりで遺跡調査をしている、そんな没入感は多少出るかもしれませんが、面倒さの方が大きく勝っています。
戦闘システムは、前作に引き続きリアルタイム制バトルでした。
基本は同じで、通常攻撃はタイミング良くボタンを押せば(ボタン連打でも成功する)三連撃以上繋げられ、APを溜められる。
スキルは溜まったAPを消費して使用し、AP消費量に応じてタクティクスレベルが上がって行く。
タクティクスレベルが上がれば通常攻撃の連撃回数が増えたり、スキルにも追加効果が発生したり。
もちろん変更された点もいくつかあります。
その中で最も良かったのは、スキル選択が簡易になったこと。
Rボタンと対応するABXY(PS系なら○×△□)ボタンを同時押しで発動できるので、前作のように方向キー上下を何度も押す必要がなくなり、急がず焦らずそれでいて素早く選択できるようになりました。
また、スキルは通常攻撃と続けざまに発動できたり、APが残っていれば同一ターンに何度も連続でスキルを繰り出すこともできます。
操作キャラが連続でガンガン攻撃していくのは、見ていても爽快ですし、操作感覚としても楽しいです。
アイテムもCC(戦闘中に溜まる)が十分にあれば複数同時に使用でき、アイテム選択中は時間停止するようになりました。
特定の条件を満たすように複数同時使用することでアイテムの必殺技を発動できるという要素も今作には追加され、とにかくスキルと合わせてガンガン攻め立てられます。
ただこういう仕様だからか敵のHPは雑魚敵でも高く設定されており、前作以上に一戦が長く感じました。
経験値は十分に得られ戦闘レベルが上がりやすいという点では、無理して何戦も行う必要がないためバランスが取れている。
ただモンスターのドロップ素材が大量に欲しいときなどは、この一戦の長さが仇になってしまいます。
それと、前作からの変更で悪くなったところが一点。
アイテム選択中以外での時間停止の方法がなくなりました。
前作ではこの方法での停止中、敵味方の耐性や弱点、付与されているステータス変化などの補助効果、状態異常などの確認もできた。
今作では状態異常などは各キャラのHPゲージの上のアイコンだけで確認する必要があり、情報を追うのが大変です。
こちらは良いのか悪いのか微妙なところですが、防具やアクセサリー装備で、主効果に「行動時HP回復」を持っているものが多過ぎます。
雑魚戦での回復の手間が減るという意味ではすごくありがたいのですが、各装備の特徴が減って「もうどれを装備してもあまり変わらないし良いか」となってしまったのが残念でした。
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続いてはフィールドに関して。
まず、移動速度に対して各エリアが広すぎます。
早い段階で多少素早い乗り物を入手できますが、乗っている最中は杖や斧などでのスイング採取ができなくなったり、ロープやハシゴなどのギミックも使用不可。
乗りながらのエリア移動もできず、どれも都度下りる必要があるのですが、乗り込む際には毎回ちょっとしたモーションが入って数秒のロスが。
つまりは移動速度アップの手段としてはほとんど使えません(レア素材採取など他の用途はあり)。
中盤以降くらいでようやく通常の移動速度アップができるアイテムを調合できるようになる。
ただこれも、最大の効果を発揮させればかなり速くなりますが、それでもまだフィールドが広く感じるほどです。
それだけ広いフィールドで、狭い通路や細い道を渡るという、その区画の移動速度がすごく遅くなるギミックが多数存在します。
その際にライザの太ももや胸が強調されているような態勢とカメラ視点になるのでまあそういう目的で作られているのでしょうが、それにしても数が多め。
強調を喜ぶ側のプレイヤーにとってもこの速度制限は無視できなさそうです。
複雑な構造をしているフィールドも少なくないのですが、マップが見づらくて探索の手間が増えています(前述した遺跡マップとは別で、通常のマップに関して)。
マップ上は平坦な大草原のように見えても、そこには高低があったり、橋がかかっていたりする。
高低も橋やハシゴの位置などもマップを見ただけではわからないので、すべて目視で確認しながら探索しなくてはなりません。
水中に入った後の上陸地点もマップではわからず、泳いで探し回らないといけない。
マップに宝箱アイコンがある場所に近付くも、目視すると壁があったからハシゴを探してまた来た道を戻り…みたいなことも何度かありました。
宝箱くらいならまだ良いですが、スムーズなシナリオ進行を阻害される場面も多いです。
ギミックをいくつか使用しないとたどり着けない行き止まりなどに頑張って行っても、宝箱もランドマークもレア素材も遺跡の欠片も何もないといったパターンもそこそこ。
調合システムは、戦闘と同じく前作と概ねは同じです。
錬金レベルがなくなり、レシピの多くはスキルツリーでの習得(スキルツリーのSPはアイテム調合や遺跡調査などで入手)。
レシピ変化での新レシピ習得も前作同様に数が多く、サブストーリーなどの納品アイテムはどのレシピ変化で習得できるのか、もしくはスキルツリーなのかを探すのが大変です。
スキルツリーは、どのマスを優先して解放するのが良いかがわかりづらい作りでした。
レシピ習得ならそのアイテム名は表示されていますが、使用アイテムなのか調合アイテムなのか、名称だけでは判別しづらいものもあります。
おすすめのマスに色を付けて表示するなどといった工夫くらいはあった方が良かったですね。
後は、アイテムリビルドの他にエッセンスという追加要素で強いアイテムがより作りやすくなったこと。
それと、戦闘中に使用するアイテムを登録するコアクリスタルは「調整」できるようになり、登録した属性のアイテムが戦闘中使用時により強化されたり、戦闘開始時のCC初期値を増やしたりもできるように。
その他、気になることを。
今作では街の人々の評判を上げられます(クエストクリアやサブストーリーで上がって行く)。
評判を上げるとより高難度のクエストが発生したり、ショップでの購入価格が下がったりする。
ですが、今作のクエスト受注時には受注料金を払わなくてはいけないものが存在します。
と言うか街の人々の評判をすべてカンストすると全部のクエストで受注料金が必要になり、報酬の金額よりも払うお金の方が高いこともしばしば。
クエストがまったく金策に役立ちません。
次に、お店を開拓するという新要素。
特定の場所で素材や調合アイテムなどを売却すると、そのアイテムに応じて、街のお店の特定カテゴリの品質がアップしたり、在庫数増加、新商品追加などの効果があります。
それ自体は良いのですが、在庫数増加や新商品追加といった特殊効果は同じアイテムを売っても二度以上は発生せず、解放済みのものをソート機能で除外できないのが難点でした。
これらを含めて、今作ではできることがたくさんあります。
次やることを考えるとき情報で頭がパンクしてしまいそうなほどに。
サブストーリーの納品アイテムを調合しないと…、
スキルツリーは次はあっちを解放する予定で…、
まだクリアしていないクエストは…、
街の人々の評判は「商人」と「職人」のカテゴリはカンストしているから残りは…、
久しぶりにお店の開拓をしておきたい…、
そろそろコアクリスタルの調整も…、
敵が強くなってきたから装備の更新とアイテムリビルドを…、
アイテムリビルド用のジェム還元が…、調合時のエッセンス使用も忘れないようにして…、
などなど。
クリアするだけなら無視できる要素もたくさんありますが、やり込みたい人にとってはできることが多過ぎて頭がいっぱいいっぱいになって辛いです。
後は細かいところになってしまいますが、壁付近でカメラが自動的に寄ることについて。
街中など普段は景色のメリハリが出て良いのですが、階段の上り下りのたびに寄ったり、狭い通路などは寄り引きしまくりで画面が見づらいうえ映像酔いもしやすい。
また、フィールド探索中で敵の付近が壁だと、突然カメラ視点の遠近が変わって距離感がつかめないなどといった懸念も。
ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら1。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)
まず戦闘が前作以上に自分には合いませんでした;;
もともとリアルタイム制バトルがあまり好きではなく、リアルタイム制でも楽しめたという戦闘システムの作品は数えるほど。
そしてじっくり考えて戦うのが好きなのですが、今作では状態変化などの確認も困難になり、とにかくガンガン攻撃できる爽快感の方にシフトしている。
この戦闘システムでのこういった変化は、間違いなく良い方向への変化だとは思います。
ただぼくにとっては、より好みから遠ざかる変化となってしまいました;;
そして戦闘の、それと調合もですが、基本システムの部分の変化が小さい。
特に調合の方は顕著で、単純にこのシステムに飽きました笑
これまでアトリエシリーズ中のアーランドシリーズ、黄昏シリーズ、不思議シリーズなどは、そのシリーズの2作目3作目と進む際に、戦闘も調合もその基本システムにいくらかの変化があります。
類似する部分はあっても、いつも新鮮な気持ちでプレイできていた。
その新鮮さが、今作では感じられませんでした。
ついでに、これはアトリエシリーズ全般に関する懸念ですが、アイテムの性能やダメージ量がインフレしすぎると個人的には嫌だなと。
何作か前から品質の上限が999まで上がりましたし、ライザシリーズではアイテムリビルドでより強いアイテムを作りやすくもなっている。
ライザシリーズが終わり次のシリーズに入った後も、リセットされずさらに上限を引き上げられるようなことのなると、制限の中でより良いアイテムを作り出すことに試行錯誤する楽しさが減って行かないかと少し心配しています。
まあアトリエシリーズ全般に関する懸念はともかくとして…。
今作で個人的に楽しめたのは、シナリオ内容の一部と全サブストーリーくらいでした。
残念ながら今作は、ぼくには合っていなかったようです…。
ライザシリーズの3作目も出るのなら、特に調合の方は、要素の追加ではなくシステムの変化が欲しいところですね。
松山勝弘(まつやままさひろ)
評価はより客観的に、感想はより主体的に。
まずは評価から。
ジャンルはRPGです。
注意事項として先に書いておきたいのは、前作「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」はプレイしておいた方が良いということ。
前作にも登場したキャラたちの関係性などはすぐにわかるので未プレイでも問題ありません。
が、前作のシナリオ内容や世界設定に関して今作で何度も触れられていたので、この辺りは前作未プレイだとハテナとなるでしょう。
(ぼくは前作プレイ済みです。)
シナリオ内容は、個別のシーンでは良いところもありますが、全体的には盛り上がりにかけラストもさらっと終わってしまった印象です。
作品のサブタイトルにもある、失われた伝承を探る形で遺跡調査を進めて行く。
初っ端の時点でも一部は解明されているのですが、まず初めにここが大問題。
その一部を見ただけでも、そこから終盤どういう展開になるのかが普通に予測できてしまいました;;
単語や表現のチョイスが悪い。それか、この「わかってしまう」部分が解明されるのを中盤以降くらいにすべきだったと思います。
そこからしばらくは、大した事態も起きずただだらだらと遺跡調査を進めて行くだけ。
今作はそこそこのボリュームがあるのですが、全体の半分を超えてもまだそんなことを続けていました。
そして前触れもなく突然に事態発生。
終盤は、まあこうなるだろうなと考えていた通りで新鮮さはなく、良い意味でプレイヤーの予想を裏切るようなこともありません。
ラストシーンは印象的で、良いラストだったと感じる方も多そうです。
ただ個人的には、そこで感情に強く働きかけるだけの前準備が、やや足りていないように感じます。
例えばライザや仲間たちがどれほどの思いを寄せていたのか、それを描写しているシーンをもう少し事前に見れていれば、言うことなしのラストになったんじゃないかなと。
メインのシナリオ内容に関してはこんなところ。
ラストの良さを除けば無難で面白みに欠けるお話でした。
代わりに、各キャラごとのサブストーリーがとてもよく出来ていて面白かったです。
仲間たちや、街中で出会う新キャラなど、優に10人を超えるキャラたちにサブストーリーが存在する。
それぞれのキャラを設定や背景も含めてうまく掘り下げており、どのキャラのお話も丁寧に描かれています。
遺跡調査では、遺跡の欠片というものを集めて回ることになります。
これがなかなかに面倒でした。
まず、遺跡の欠片を集められる状態にするため、羅針盤をその遺跡に慣らす、という手順が先に必要です。
特定の敵討伐や素材採取、宝箱の中身回収などの計5つの条件を達成する必要があるのですが、その条件内容も具体的に書かれているわけではない。
そしてすべての条件を達成するまでに、大抵1つ以上のエリアを最奥まで探索し終えています。
そこから各エリアに十数個散りばめられている欠片集め。
つまり今探索し終えた同じエリアをもう一度見て回らないといけません。
また、通常の欠片は近付けばマップに場所が表示されますが、特殊な敵を倒さないと欠片が出て来ないタイプだと、その敵の位置はマップに表示されたりはしない(目視で探す必要があり見逃す可能性も十分にあり得る嫌な配置も時々)。
細かい例だと、シナリオイベント発生で自動的に飛び降りられたせいで付近の宝箱を回収できず、その宝箱の中身が羅針盤を慣らす条件だったこと。
回収するには大回りして戻る必要がありました。
他には、細い道が長く続き、そこにモンスターが少なくない数配置されていてエンカウントがほぼ避けられなかったこと。
シナリオ進行のために二度、遺跡の欠片集めのためにさらに一度はこの道を通る必要があります。
後は、羅針盤を慣らした後はマップ画面が欠片集め専用のものに切り替わるのですが、これがすごく見づらい。
黒背景に白線で外枠を描いただけのもので、多少複雑な構造をしている遺跡だと、どっちが歩ける場所でどっちが壁なのかといったことが一目でわかりません。
通常マップと切り替え可能も、都度切り替えるのも面倒で手間が増えているだけ。
収集だけでもこのように面倒の多い遺跡の欠片ですが、集めた欠片は自分で穴(メモの空白部分)にはめ込んで謎解きをする必要があります。
各遺跡の遺跡の欠片は全エリア合計で40個前後。
それと同数だけ穴があり、ヒントを見れば解答は難しくありませんが、単純に該当する欠片を探し出して選ぶ作業が大変です。
ぼくはヒントと欠片とを見比べるのが面倒になり、途中からはどちらの情報も一切見ずに総当たりで欠片を穴にはめ込んでいきました…笑
このように、遺跡の欠片集めという要素で良いところなんて全然ありません。
自分が主人公のライザになったつもりで遺跡調査をしている、そんな没入感は多少出るかもしれませんが、面倒さの方が大きく勝っています。
戦闘システムは、前作に引き続きリアルタイム制バトルでした。
基本は同じで、通常攻撃はタイミング良くボタンを押せば(ボタン連打でも成功する)三連撃以上繋げられ、APを溜められる。
スキルは溜まったAPを消費して使用し、AP消費量に応じてタクティクスレベルが上がって行く。
タクティクスレベルが上がれば通常攻撃の連撃回数が増えたり、スキルにも追加効果が発生したり。
もちろん変更された点もいくつかあります。
その中で最も良かったのは、スキル選択が簡易になったこと。
Rボタンと対応するABXY(PS系なら○×△□)ボタンを同時押しで発動できるので、前作のように方向キー上下を何度も押す必要がなくなり、急がず焦らずそれでいて素早く選択できるようになりました。
また、スキルは通常攻撃と続けざまに発動できたり、APが残っていれば同一ターンに何度も連続でスキルを繰り出すこともできます。
操作キャラが連続でガンガン攻撃していくのは、見ていても爽快ですし、操作感覚としても楽しいです。
アイテムもCC(戦闘中に溜まる)が十分にあれば複数同時に使用でき、アイテム選択中は時間停止するようになりました。
特定の条件を満たすように複数同時使用することでアイテムの必殺技を発動できるという要素も今作には追加され、とにかくスキルと合わせてガンガン攻め立てられます。
ただこういう仕様だからか敵のHPは雑魚敵でも高く設定されており、前作以上に一戦が長く感じました。
経験値は十分に得られ戦闘レベルが上がりやすいという点では、無理して何戦も行う必要がないためバランスが取れている。
ただモンスターのドロップ素材が大量に欲しいときなどは、この一戦の長さが仇になってしまいます。
それと、前作からの変更で悪くなったところが一点。
アイテム選択中以外での時間停止の方法がなくなりました。
前作ではこの方法での停止中、敵味方の耐性や弱点、付与されているステータス変化などの補助効果、状態異常などの確認もできた。
今作では状態異常などは各キャラのHPゲージの上のアイコンだけで確認する必要があり、情報を追うのが大変です。
こちらは良いのか悪いのか微妙なところですが、防具やアクセサリー装備で、主効果に「行動時HP回復」を持っているものが多過ぎます。
雑魚戦での回復の手間が減るという意味ではすごくありがたいのですが、各装備の特徴が減って「もうどれを装備してもあまり変わらないし良いか」となってしまったのが残念でした。
(Amazonリンク)
続いてはフィールドに関して。
まず、移動速度に対して各エリアが広すぎます。
早い段階で多少素早い乗り物を入手できますが、乗っている最中は杖や斧などでのスイング採取ができなくなったり、ロープやハシゴなどのギミックも使用不可。
乗りながらのエリア移動もできず、どれも都度下りる必要があるのですが、乗り込む際には毎回ちょっとしたモーションが入って数秒のロスが。
つまりは移動速度アップの手段としてはほとんど使えません(レア素材採取など他の用途はあり)。
中盤以降くらいでようやく通常の移動速度アップができるアイテムを調合できるようになる。
ただこれも、最大の効果を発揮させればかなり速くなりますが、それでもまだフィールドが広く感じるほどです。
それだけ広いフィールドで、狭い通路や細い道を渡るという、その区画の移動速度がすごく遅くなるギミックが多数存在します。
その際にライザの太ももや胸が強調されているような態勢とカメラ視点になるのでまあそういう目的で作られているのでしょうが、それにしても数が多め。
強調を喜ぶ側のプレイヤーにとってもこの速度制限は無視できなさそうです。
複雑な構造をしているフィールドも少なくないのですが、マップが見づらくて探索の手間が増えています(前述した遺跡マップとは別で、通常のマップに関して)。
マップ上は平坦な大草原のように見えても、そこには高低があったり、橋がかかっていたりする。
高低も橋やハシゴの位置などもマップを見ただけではわからないので、すべて目視で確認しながら探索しなくてはなりません。
水中に入った後の上陸地点もマップではわからず、泳いで探し回らないといけない。
マップに宝箱アイコンがある場所に近付くも、目視すると壁があったからハシゴを探してまた来た道を戻り…みたいなことも何度かありました。
宝箱くらいならまだ良いですが、スムーズなシナリオ進行を阻害される場面も多いです。
ギミックをいくつか使用しないとたどり着けない行き止まりなどに頑張って行っても、宝箱もランドマークもレア素材も遺跡の欠片も何もないといったパターンもそこそこ。
ランドマークは今作では見つける意味も全然ありませんでしたし。
せめて行き止まり地点の風景だけでも良かったり珍しければ納得はできますが、ほとんど他と大差ないので…;;
フィールドは隅々まで見てまわりたいタイプの人にとっては、実に探索し甲斐のない作りをしています。各エリアにはショートカット移動できますが、移動先は入口のみ。
街中のよく行く施設(畑や、装備類の店がある場所など)、序盤の金策に良さそうなクエストの討伐対象のいる場所などへのアクセスが非常に悪い。
クエスト受注ができる掲示板も、距離は比較的近めですが、毎回障害物を避けるように移動する必要があり、こういった細かい構造も含めて雑です。
シナリオ進行上で長距離をただただ走らされることもよくありましたし…。調合システムは、戦闘と同じく前作と概ねは同じです。
錬金レベルがなくなり、レシピの多くはスキルツリーでの習得(スキルツリーのSPはアイテム調合や遺跡調査などで入手)。
レシピ変化での新レシピ習得も前作同様に数が多く、サブストーリーなどの納品アイテムはどのレシピ変化で習得できるのか、もしくはスキルツリーなのかを探すのが大変です。
スキルツリーは、どのマスを優先して解放するのが良いかがわかりづらい作りでした。
レシピ習得ならそのアイテム名は表示されていますが、使用アイテムなのか調合アイテムなのか、名称だけでは判別しづらいものもあります。
おすすめのマスに色を付けて表示するなどといった工夫くらいはあった方が良かったですね。
後は、アイテムリビルドの他にエッセンスという追加要素で強いアイテムがより作りやすくなったこと。
それと、戦闘中に使用するアイテムを登録するコアクリスタルは「調整」できるようになり、登録した属性のアイテムが戦闘中使用時により強化されたり、戦闘開始時のCC初期値を増やしたりもできるように。
その他、気になることを。
今作では街の人々の評判を上げられます(クエストクリアやサブストーリーで上がって行く)。
評判を上げるとより高難度のクエストが発生したり、ショップでの購入価格が下がったりする。
ですが、今作のクエスト受注時には受注料金を払わなくてはいけないものが存在します。
と言うか街の人々の評判をすべてカンストすると全部のクエストで受注料金が必要になり、報酬の金額よりも払うお金の方が高いこともしばしば。
クエストがまったく金策に役立ちません。
次に、お店を開拓するという新要素。
特定の場所で素材や調合アイテムなどを売却すると、そのアイテムに応じて、街のお店の特定カテゴリの品質がアップしたり、在庫数増加、新商品追加などの効果があります。
それ自体は良いのですが、在庫数増加や新商品追加といった特殊効果は同じアイテムを売っても二度以上は発生せず、解放済みのものをソート機能で除外できないのが難点でした。
これらを含めて、今作ではできることがたくさんあります。
次やることを考えるとき情報で頭がパンクしてしまいそうなほどに。
サブストーリーの納品アイテムを調合しないと…、
スキルツリーは次はあっちを解放する予定で…、
まだクリアしていないクエストは…、
街の人々の評判は「商人」と「職人」のカテゴリはカンストしているから残りは…、
久しぶりにお店の開拓をしておきたい…、
そろそろコアクリスタルの調整も…、
敵が強くなってきたから装備の更新とアイテムリビルドを…、
アイテムリビルド用のジェム還元が…、調合時のエッセンス使用も忘れないようにして…、
などなど。
クリアするだけなら無視できる要素もたくさんありますが、やり込みたい人にとってはできることが多過ぎて頭がいっぱいいっぱいになって辛いです。
後は細かいところになってしまいますが、壁付近でカメラが自動的に寄ることについて。
街中など普段は景色のメリハリが出て良いのですが、階段の上り下りのたびに寄ったり、狭い通路などは寄り引きしまくりで画面が見づらいうえ映像酔いもしやすい。
また、フィールド探索中で敵の付近が壁だと、突然カメラ視点の遠近が変わって距離感がつかめないなどといった懸念も。
ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら1。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)
まず戦闘が前作以上に自分には合いませんでした;;
もともとリアルタイム制バトルがあまり好きではなく、リアルタイム制でも楽しめたという戦闘システムの作品は数えるほど。
そしてじっくり考えて戦うのが好きなのですが、今作では状態変化などの確認も困難になり、とにかくガンガン攻撃できる爽快感の方にシフトしている。
この戦闘システムでのこういった変化は、間違いなく良い方向への変化だとは思います。
ただぼくにとっては、より好みから遠ざかる変化となってしまいました;;
そして戦闘の、それと調合もですが、基本システムの部分の変化が小さい。
特に調合の方は顕著で、単純にこのシステムに飽きました笑
これまでアトリエシリーズ中のアーランドシリーズ、黄昏シリーズ、不思議シリーズなどは、そのシリーズの2作目3作目と進む際に、戦闘も調合もその基本システムにいくらかの変化があります。
類似する部分はあっても、いつも新鮮な気持ちでプレイできていた。
その新鮮さが、今作では感じられませんでした。
ついでに、これはアトリエシリーズ全般に関する懸念ですが、アイテムの性能やダメージ量がインフレしすぎると個人的には嫌だなと。
何作か前から品質の上限が999まで上がりましたし、ライザシリーズではアイテムリビルドでより強いアイテムを作りやすくもなっている。
ライザシリーズが終わり次のシリーズに入った後も、リセットされずさらに上限を引き上げられるようなことのなると、制限の中でより良いアイテムを作り出すことに試行錯誤する楽しさが減って行かないかと少し心配しています。
まあアトリエシリーズ全般に関する懸念はともかくとして…。
今作で個人的に楽しめたのは、シナリオ内容の一部と全サブストーリーくらいでした。
残念ながら今作は、ぼくには合っていなかったようです…。
ライザシリーズの3作目も出るのなら、特に調合の方は、要素の追加ではなくシステムの変化が欲しいところですね。
松山勝弘(まつやままさひろ)