PS Vitaソフト「プリンセスは金の亡者」をエンディングまでクリアしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主観的に。


まずは評価から。

ステージをクリアしていくタイプのアクションゲームで。
シナリオも一応ありますが、流れ自体はややご都合展開も含みつつの王道。
基本的には、キャラ同士の会話やナレーションのボケを楽しめるだけのものと認識できます。
むしろこちらが主体で、シナリオの流れはこれを邪魔しない程度には出来上がっていたかと。
ボケは内容自体はしょーもない感じでしたが。
ナレーションの間の取り方が上手いのかな、個人的にはツボにはまる部分が多かったです。


力がものを言う勇者と魔王の世界は終わり、金がものを言う資本主義社会に…といった世界観で。
ゲームタイトルからもお分かりの通り、金がこのゲームでは最も重要です。

宝箱を開けたり敵を倒したりして入手した金を使って。
敵であるはずのモンスターを買収して、他のモンスターたちを攻撃させたり。
ステージごとに出て来る危険な罠たちも買収してしまえば逆にこちらが使用できたり。
払った額に応じて威力や効果が変わる「銭奇跡」を起こすことも可能です(攻撃、強化、回復など)。

戦闘の基本操作は簡単で。
1つ1つのステージはそれほど長くはありませんが。
ステージ難易度は高め。
ゲーム操作は上手いとは言いませんが慣れている方です。
それでも何度もやられてリトライするハメになりました。
そこで、金の使いどころを考えるのが難しくて面白い。
一度買収や銭奇跡でお金を使うと、一定時間は次の買収や銭奇跡が行えないので。
どのタイミングでどれを買収するか、買収したモンスターや罠をどう使用するか。
または買収より銭奇跡を優先するかなどと。
状況に応じて瞬時の判断が必要になってきます。


買収したモンスターや罠は王国に持ち帰っているような形になっていて。
その種類や数に応じて、武具や像を作成することが可能です。
なのでこれらを作成する目的で狙ったモンスターや罠を買収する必要も出てきます。

武具はもちろん装備するもので。
攻撃力、防御力の他に、武具によって違う奥義が使用できたり、ステージ挑戦中に保持できるお金の上限額が違います。
例えば20000Gほど入手できる見込みのあるステージに、上限5000Gの武具装備で挑むともったいない。
でもランクが高いのに上限額が少ない武具は攻撃力や防御力が高かったりと。
どこに重点を置くかで装備する武具も変わります。

像は、作成するとスキルポイントが手に入り。
操作キャラのプリンセスなどにはレベルがないため。
強化はスキルポイントの割り振りのみ。
それと武具の装備で強くします。
スキルポイントは、基本パラメータのアップと特定のスキルの習得が可能。
敵から巻き上げられる金額を増やしたりできるスキルもあるので。
どこを優先してポイントを割り振るかも重要です。

これらは優先項目を考える面白さと。
全武具・像やスキルのコンプリートを目指すやり込み要素としての楽しさもあります。


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プレイヤーが操作できるキャラは2人。
主人公のプリンセスの他に、シナリオ途中で解禁されるイザベラというキャラがいて。
基本操作の方法に若干違う部分があり、同じ操作方法でも動きは全然違います。
当然、どちらにも良し悪しが。

例えばプリンセスはお金を使うのに「電卓」を使用しますが。
イザベラはそれが必要ありません。
電卓を開くと画面の右から3分の1ほどに表示されるので。
単純に見えづらくなるほか。
その場所にいるモンスターなどを買収するには自身が右側に移動するか。
電卓を画面の左3分の1に表示されるように移動操作しないといけない。
そもそも電卓に買収金額を打ち込まなくてはならず。

イザベラだと電卓不要な反面、買収したい敵や罠に近付かないといけないので。
つまり離れた位置からの買収が不可能、ダメージを負うリスクが出て来る。
他にも、イザベラでは「銭奇跡」が使えないなどの点も。
といった具合です。


イザベラの強化に使うスキルポイントは、プリンセスと併用。
なので2人ともにバランスよくポイントを割り振るとどちらもあまり強くならず、終盤のステージは相当に難しくなってしまいます。
どちらかでステージをクリアすれば良いので。
好きな方1人だけを選んでエンディングまで行けば良いと思いますが。
ステージクリアのランク(D~S)は各キャラごとに表示されるので。
人によっては、後でやり込みたい時には両方を強化する必要がでてきます。
面倒なら、お金さえ払えばポイントをすべてリセットできるので。
片方をやり込んだ後にリセットしてもう片方を強化し…ということも可能です。

ただ、この金額がそこそこ高額なのでマイナス点ですね;;
せっかくプレイアブルキャラクターが2人いるのに。
ステージによって使い分けたり交互に使用したりが難しい。
先に書いた通り片方で一気にやり込んだ後にもう片方を…というのであればそこまで難しくはありませんが。
エンディングまでの間に両方をバランスよく使いたかった。


ここからは感想。
10点満点で点数を付けるなら5。
(人を選ぶと感じたゲームのうち自分には合わなかったゲームは1、普通に面白くないゲームには0を付けます。面白くない方向にも5段階くらいあるので、実質-5~10点の間で付けた点数だとお考えください。)

このゲーム特有の、お金に関するシステムはかなり良かったです。
狙っている武具を作る目的で、それに必要なモンスターを買収したいのに。
今ここでそのモンスターを買収すると一緒に出てきた強いモンスターを倒せない可能性が、とか。
奥から噴出してくる罠が厄介すぎて先に買収したいのにモンスターの攻撃が邪魔でなかなか近付けない、とか。
プリンセスの電卓やイザベラの買収方法の欠点が適度にステージ難易度を上げていました。

基本操作が簡単な割には。
奥義や買収したモンスター・罠を使用すればまとめて敵を倒せて爽快感もあり。
ステージ難易度含め、アクションゲームとして見てもなかなか楽しめています。

それと、個人的にはやっぱりシナリオ会話部分のナレーションにハマっています笑
アクションゲームとしての期待で購入したのに全く別のところで楽しませてもらったのは嬉しかったです。

ただ、シナリオクリアを目指している時に。
プリンセスとイザベラの両方を交互に使うというのが困難な仕様だった点だけはマイナスでした。


とにかく買収が重要なゲームなので。
電卓に金額を打ち込みにくい、画面の3分の1も取られて邪魔などといった部分。
この部分に関してストレスを感じる方にはあまりお勧めできません。
一番重要な要素なのに、この部分の操作性が抜群に良いわけではなかったからです。

ですが、この部分を許容できる方にとっては。
アクションゲームとして十分に楽しめる一作だと思います。

プリンセスは金の亡者 - PS Vita
日本一ソフトウェア
2016-11-24

松山勝弘(まつやままさひろ)