Nintendo Switchソフト「ポケットモンスター Let's Go イーブイ」を、ポケモンリーグ制覇後の要素まで概ねプレイ(一部除く)してみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。


まずは評価から。
シナリオ内容に関しては、初代ポケモンこと赤・緑・青およびピカチュウ(黄)とほとんど同じです。
多少の違いはあれど新鮮さを感じるほどのものではない。
シナリオを楽しめる最低条件として、初代ポケモンをしていない人または初代をプレイしているが懐かしさを楽しみたい人に限られるでしょう。
(そもそもポケモンシリーズ自体がそこまでシナリオ内容重視のゲームではないように思いますが…。)

ここからは、今作が初代ポケモンやその他ポケモンシリーズ過去作と比較して大きく違う点を中心に書いていきます。


初めにエンカウト方式に関してです。
草むらや洞窟にて、ポケモンのシンボルが突如として出現し、そのシンボルに触れるとエンカウト。
その地帯に生息するポケモンの中から一定確率で出現するため、シンボルエンカウントとは言えランダム性は保たれています。
「かみなりのいし」「つきのいし」といった進化の石を使わないと進化しないポケモン(進化後)も概ね出現したりと、各地に生息しているポケモンも初代と比較して結構違いました。
草むらなどからシンボルがふと出現するのはまさに「野生のポケモンがとびだしてきた」という雰囲気でテンションが上がります。

ただ、小さい草むらからサイズが大きいポケモンが出てきたときなどは不自然さもある。
それと、大サイズの、例えばイワークなどのシンボルが出てきた場合に避けて通るのが困難であるという点も。
エンカウントを避ける「むしよけスプレー」などのアイテムは今作にもあるので絶対に避けたい場合はそれを活用すれば良いわけですし、過去作はランダムエンカウントだったためスプレー必須でしたが、シンボルエンカウントだと「シンボルサイズが大きいせいで避けられない」というのはイラッとしてしまう要素になりかねないため一応書いておきました。


シリーズ過去作ではエンカウントしたらバトル画面に入りますが、今作では野生ポケモンとのバトルは通常ありません。
モンスターボールなどの捕獲用ボールを投げるか、各種きのみを投げて捕獲率を上げるなどの工夫をするか、逃げるかの3択のみでした。
エンカウントした野生ポケモンには輪が2つ付いており、片方は一定の速度で輪の中心に収束していく(輪がだんだん小さくなる)。
最低でも外側の動かない輪の中にボールを当てないと空振りし、その一投は100%捕獲失敗。
外側の輪の中でかつ、内側のだんだんと小さくなる輪の中にボールを当てた場合、輪の小ささに応じて捕獲率が上がるといった形です。
この捕獲チャレンジ中に、野生ポケモンたちは飛び跳ねたり横にステップを踏んだりと、種類ごとに様々な動きを見せます。
コントローラのジャイロ操作でこの動きを追い、なおかつ小さくなる輪のタイミングも計らなくてはならない、という具合に捕獲はちょっとしたミニゲームのようになっていました。
捕獲に成功すると、手持ちのポケモン全員に経験値が入ります。

捕獲に焦点を当てた面白い試みだとは思いますが、ミニゲーム感覚で楽しめるのは序盤のうちだけ。
飽きた後はポケモンが動き回るのがすごく面倒です。
通常バトルのできるポケモントレーナーの数も限られているので、ジム戦やポケモンリーグ前などで経験値を稼ぎたい場合は野生ポケモンの捕獲が必須。
画面を見ずにAボタン連打でのレベル上げなどが不可能なのは辛いところでしょう。

また、すべてのポケモンが一定時間経過後に逃走する点も考えもの(同じポケモンでもすぐ逃げたり想像以上に長く留まったりと時間はまちまち)。
捕獲率が低いポケモンなどはモンスターボールよりも捕獲しやすいスーパーボールやハイパーボールを使用しても逃げられることが少なくないため、捕獲率の低いポケモンがなおかつ出現率も低かったりすると、図鑑を埋めるためにただ捕まえたいだけという場合でも大変です。
すべてのポケモンを統一してモンスターボールだけで捕まえたいなどの縛りプレイがしたい人にとってはさらに厳しい世界となります。



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今作では、捕獲して手持ちに入れたポケモンの中から1匹、ボールの外に出すことが可能です。
この仕様は一部過去作でもありましたが、今作では確実に進化しています。
ただ連れ歩けるというだけでなく、ポケモンによっては背中に乗って移動したり飛行ができる。
また、ポケモンごとの動きがよく作り込まれていて、150匹(ミュウやメルタン、メルメタルを入れたら153匹)すべてのポケモンを一度ずつボールから出して見てみたいと思うほどに楽しめる要素となっていました。

ただし細かな難点も3つほど。
1つは、今作には自転車がないため、主人公の移動速度を上げるには乗れるタイプのポケモンを手持ちに入れかつボールから出す必要があることです。
パーティ6匹のうち1匹は移動用ポケモン枠という選択肢が、好きなポケモンのみでパーティを組みたいという考えにプレッシャーを与えてきます。
一応、フィールドはそれほど広くなく主人公の通常時の移動速度でも探索が苦にはならない程度でしたが。

2つ目は、トレーナーの近くや狭い道などでは、ポケモンが自動的にボールの中に戻ってしまうという点です。
その場所を抜ければ再び勝手にボールから出て来てくれますが、移動用ポケモンを使っているときは、いきなりスピードが落ちてイラつく、そこからまた突然スピードが上がることで勢い余って使うつもりのない階段を使ってしまうなどの事態も起こり得ます。

3つ目は、乗って飛行するポケモンに関してです。
ポケモンリーグを制覇して殿堂入りした後は、飛行高度が上がります。
この状態での移動は楽な部分も多いですが、洞窟や建物に入りたいときなどに意図的に高度を落とすことができない。
すなわちポケモンから下りるしかなく、先ほど書いた「自動的にボールの中に戻る」条件のどれも該当しないため、その都度メニューの手持ちポケモンを開いてから戻すほかありません。
確実に面倒くさいです。


ポケモンシリーズは、シリーズが進みポケモンの総数が増えるに連れて、ポケモンバトルに重点を置いたゲームとなっていったように思います。
ですが今作は、バトルに関しては直近の過去作と比較すると白熱できるものではまったくない。
細かく分けるといろいろ理由が挙げられますが、大きな理由として、登場するポケモンの総数が初代ポケモンとほぼ同じ150匹ちょっととなっているためです。
なのでバトルを楽しみたいという方には正直お勧めできない。
その代わり、図鑑を集める楽しさはシリーズの中でも一番と言っても過言ではないでしょう。
より正確には、ポケモンを連れ歩くことの面白さから派生して、よりたくさんのポケモンをボールから出して連れ歩いてみたいという欲求から結果的に図鑑も集まっていくということなのですが。
今作の購入を検討するうえでは最も重要視してほしいポイントです。
感覚的には、通常のポケモンシリーズの一つと考えるより、ポケモンピンボールやポケモンでパネポン、ポケモン不思議のダンジョンといった派生作品の一種と考えた方がしっくりくるかもしれません。



ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら3。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)

自分には、ポケモンを連れ歩く面白さがしっくりハマりました。
一匹一匹違った動きをすることもですし、意外な動き方や乗り方があったのも面白い。
バトルに関しては、ガチの対人戦がしたいという人以外はそれほど気にならないような気もしました。

評価のところでは書いていませんが、相棒のポケモン(ピカチュウまたはイーブイ)を撒撫でることができます。
過去作にもあったポケパルレのようなものですが、今作で撒撫でられるのは相棒のポケモンのみ。
ですが、ずっと撫でまわしたり突っついたりしていても全然飽きないというほど、相棒の反応が可愛い笑
なつけばまた違った反応が見られたので、旅の途中でこまめに相棒を撒撫でるのも楽しみの一つでした。

後は、3DSのバーチャルコンソールで初代ポケモンや金・銀をやっていなかったため、懐かしさを楽しめたという部分もあります。


ただ150匹は少し物足りないなと;;
今や800種類以上のポケモンが存在するので。
初代ポケモンの世界の広さを考えると十分なのですが、つまりは今作のボリュームはそれほどないという言い方もできますね。

殿堂入り後の要素で今作特有のものもありましたが…。
例えば、イーブイマスターやナゾノクサマスター、ナッシーマスターみたいな、各ポケモン使いが至る所に現れて、同じポケモン同士の1対1のバトルができるというものがあります。
えっと…進化前のポケモンと進化後のポケモンを両方レベル上げしなくてはならなかったりと、数が結構多いので作業感が強かったんですよね;;
進化前のポケモンのマスタートレーナーに勝った後に、そのポケモンを進化させて進化後のマスタートレーナーと戦う…ということをするにせよ、進化前後のマスタートレーナーの場所を先に探す手間がある。
頑張って育てたそのポケモンをついでに対人戦に使えるといった考え方も、今作に限ってはできませんし。
ボリュームの少なさをカバーするために付けたのか何のために付けた要素なのかわかりませんが、むしろ余計だと感じました。


個人的には、バトル用のポケモンを育てているときがポケモンシリーズで一番楽しい瞬間です。
今作はこのままで良いですし、リメイクなどで似た感じのものを出すのも良いとして、今後の通常のポケモンシリーズでは、これまで通りまたはバトルや育成がより面白く感じられるような方向性の進化に期待したいなと。


松山勝弘(まつやままさひろ)