PS4ソフト「ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団」をノーマルエンディングまでプレイしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。


まずは評価から。
ジャンルはダンジョンRPGです。

ガレリア宮に眠る奇品を探すため、前人未到の大迷宮攻略へ乗り出す一行。
序盤は概ね、特定のギミックなどで進めなくなるたびに拠点に戻り、新しい機能が追加されたらそのギミックの先へ…と繰り返されるので、あまり迷わずに進められます。
それが物語が進むに連れ、徐々にこれといったヒントも出されなくなる。
マップのこの辺りが全然埋まっていないから怪しいなだとか、自身で行くべき場所を模索しながら探索できるのは楽しいポイントでもあります。
が、そこを楽しめるタイプの人であっても、あまりにもヒントがなさすぎるので、1~2か所の見落としから攻略に詰まってしまうことは大いにあり得る。
もう行けるところは全部回ったのに!?と、すごく大変な思いをする可能性も低くありません。

ダンジョン探索中に使える特殊行動では、やはり前作「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」で話題となった「壁壊し」が今作でも面白いところでした。
例えば扉が開かないとき、スイッチを探して回るより壁を壊してしまえば容易にその先を見て回れるといった具合です。
スキルポイント(とはちょっと違いますが)みたいなものを消費しないと使用できないため、一度の探索中に頻繁には使えないのも良い制限。
どこまで無茶をして、どれだけ丁寧に探索するか、そのバランス感覚も楽しい要素です。
ただ、例えば3マス先へ飛べる「ロングジャンプ」などは使えるマス(飛び始めのマス)が決まっていたりなど、壁壊し以外には攻略の自由度がほとんどありませんでした。
せっかくのこのゲーム特有の部分なので、ここで自由度が出せないのはもったいなく感じます。


さて、マイナス面もあるとは言え、ここまでのダンジョン探索は面白いパートです。
ですが、まったくつまらない探索パートも今作には存在します。
入るたびにランダム生成される小さなマップ。
それをただひたすらに上の階層へと上って行くだけのダンジョンです。
探索していて何も楽しくない、ただの作業と化していました。
それが合計で200階層以上!
戦闘難易度を下げてゴリ押しで進めたとしても、シナリオイベントを見ている時間も含めて、このダンジョンパートだけでプレイ時間にして15~20時間はかかります。
シナリオ内容がプレイヤーを強く引き付ける場面でもあったのでここでプレイを止めてしまう人はさすがに少なそうですが、きっと多くの人が不満を漏らすパートでもあるでしょう。

ぼくは現時点でクリア後ダンジョンを未プレイなので調べた内容ですが、トゥルーエンドを見るためのクリア後ダンジョンは、同じくランダム生成で3651階層あるようです;;
エレベーターがあれば数十~数百を一気に飛ばせることもあるみたいですが、全滅の危険性が高いことやその他情報も見てみると、何故こんな仕様にしたのかと疑問しかありません。
トゥルーエンドの内容が前作と同等の素晴らしいものだったとしても、それに見合うだけの苦労ではないように感じました(そう感じたからこそ現時点ではやる気が起きずプレイしていないのですが;;笑)。


自身で確認しているノーマルエンドまでのシナリオですが、こちらは今作も素晴らしい内容でした。
序盤ではいろんな謎を小出しにしてプレイヤーの興味を惹き、プレイヤー自身で謎解きができる・考察できる余地を持たせた適度な情報量の中盤、そしてすべての答が示され解決(エンディング)に向けて必死に抗う終盤。
あらゆる演出も含めて、この壮大な物語は見事の一言です。
(普通ならトゥルーエンドまで絶対に見たくなるような出来なのにどうしてあのクリア後ダンジョンは……笑)


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戦闘システムは、前作とほとんど同じです。
パーティは5枠。
それぞれの枠に、戦闘に直接参加するアタッカーが3人までと、サポーターが5人まで。
1枠あたり8人が5枠で、最大40人のパーティを作ることができます。

戦うのは人形です。
特定の素材を消費することでプレイヤーがキャラメイクできます。
ファセット(他のゲームで言うところの職業・クラス)は概ね10種あり、特徴はどれも大きく異なりました。

アタッカーの数が多い方が通常攻撃の回数は増えますし、敵の強烈な攻撃が飛んできても生存者が出る可能性が高まる(運良く1人だけ回避するなど)。
ですが、ただ数を増やすだけで強くなるというわけではないのが、本作のパーティ編成の面白いところです。
パーティ編成では5枠にそれぞれ、結魂書というアイテムを配置する必要がある。
アタッカーやサポーターにセットできる人数は、この結魂書ごとに決まっています。
そして、特定の位置に誰かを配置することで、何らかの効果が発揮される場合もあるのです。
例えば、アタッカー1人、サポーター0でも、配置したアタッカーの攻撃・防御・回避・命中がすべて100%アップするという効果を持つ結魂書も存在しました。
また結魂書ごとに使えるスキルが異なるため、ステータス向上の効果を優先したり便利なスキルを望んだりと、頭を悩ませるのが楽しいところでした。

もちろん、どこにどのファセットの人形をセットするかによっても、戦い方が大きく変わってきます。
全ファセットをバランス良く作成することが最適とも限らず、手に入れた結魂書と相談しながら考えていく必要がある。
プレイヤーの好みも反映されやすく、好きな人にとってはとことん楽しめる要素です。

結魂書は、レベルを上げて分解すると、スキルの一部を取り出して別の結魂書に移すことができる。
そしてキャラは、シナリオを進めて行くと、「魂移し」でレベルリセット(同時に別のファセットに変更)することも可能。
これらの仕様があるおかげで、育成に失敗した、別の戦い方を試してみたいといったときにも気軽に編成し直すことができたのもありがたかったです。

戦闘面で残念な点があるとすれば、魂移しによる頻繁なレベルリセットが必須だったこと。
レベルリセットをすればその人形の性能が大きく上がり、何度もレベルリセットをするたびに人形を強くできる。
ですが毎回レベル1になり、当然レベルの低いうちはレベルリセットを実行する直前よりは弱いので、その都度レベル上げを行う必要が出てきます。
育成が面倒な人だと、難易度を下げてゴリ押しで進めたくなるところですが、物語中盤から終盤に差し掛かったあたりで、難易度を下げていようがレベルリセットなしでは倒せないほど強いボスが登場し始める。(※装備の更新や強化をしてもどうにもなりません)
ラスボスの撃破までにはさらに何度ものレベルリセットを積み重ねる必要もあるため、地道な育成が好きではない人にとっては辛いところ。
一応レベル上げのしやすいダンジョンは存在しましたが、それでもレベルリセット後に再カンストするまで、何十戦から百戦以上をもこなさなくてはなりませんでした。



ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら5。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)

良いところは前作ルフランに負けず劣らず良かったのですが、各段に悪い部分が出て来てしまいましたね;;
あのただただ作業なだけのダンジョン!
ぼくはあれが面倒すぎてそこで難易度を下げ、シナリオだけを真っ直ぐ追いかけようと遊び方をシフトしました。
が、難易度を下げたのにレベルリセットでの育成必須な敵の強さですよ…笑
ラスボスに到達した時点で、レベルリセットは99→1を2回。
そしてラスボスが強すぎたのでそこから追加で2回、レベル上げのために延々と雑魚戦をこなしていました。

それだけの苦労をしてでもクリアしたいほどシナリオ内容は面白かったですし、苦労してたどり着いたゴールも期待通りに良かったので総合的には満足していますが…。
あれだけ内容を作り込んでいて、ダンジョン探索も序盤はずっと面白かったのに、何でプレイヤーの楽しさをすり減らすようなあの駄ダンジョンを挟んだのか!もう、本っ当に!!笑

トゥルーエンドの方は到達していないのでどの程度なのかわかりませんが、内容には期待しかありません。
内容には期待しかないのに、それでもプレイする気の起きない駄駄ダンジョン。
仮にトゥルーエンドも内容がかなり作り込まれているのだとしたら、何故制作側は多くのプレイヤーがそこに到達するように工夫しなかったのか、まったく逆のことをしたのか。
と、ただひたすら残念に感じています;;

まあ、とは言えです。
そこのところの不満を除けば、壮大で作り込まれたシナリオ、いろんなことを考えて少しずつ攻略を進めるダンジョン、自由度の高いパーティ編成と戦闘、どれも面白い要素ばかりでした。
前作を楽しめている方、多少面倒があっても目をつぶれる方などは、時間に余裕のあるときに手に取ってみてください。
(参考までに、クリア時間は70時間ほどでした。全ダンジョンでほぼ完ぺきにマップ埋めをし、前半分は難易度ノーマル、後ろ半分がイージーです。)



ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団 - PS4
日本一ソフトウェア
2020-11-26

ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団 - PS Vita
日本一ソフトウェア
2020-11-26

松山勝弘(まつやままさひろ)