Nintendo Switchソフト「ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション」を、本編と追加ストーリーの両方でエンディングまでプレイしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。

ゼノブレイドの無印は未プレイで、ゼノブレイド2はやり込みましっかりとプレイしています。


まずは評価から。
ジャンルはRPGです。

初めに、世界観と設定が独特で面白いですね。
過去に巨神と機神が争い、朽ちたその2体の上で今の人々は生活している。
ただ奇をてらっただけということにはならず、これら設定もきちんと活かして反映されたシナリオ内容になっているのも良かったです。
物語が進んでいろんなことが判明されていくほどに、「そういうことだったのか」などと感服されられることがよくある。
設定もシナリオ内容も非常によく作られていました。

それぞれの種族の存在・存亡をかけた壮絶な戦いが繰り広げられる壮大なシナリオ。
敵側がこっちの都合に合わせて攻撃の手を止めたり軍を引いたりしない。
もちろん味方もただ手をこまねいているだけでなく、持ち得る手をふんだんに使おうとしている。
こう実際の戦場のようなリアルな展開が、イベントムービーでも白熱に描かれる。
凝った内容や素晴らしい演出のおかげでプレイヤーの心には素直に深く突き刺さってきて、多くの方はのめり込まずにはいられなくなるでしょう。

メインキャラたちがどのキャラもカッコいいのも、シナリオを盛り上げている一つの要因だと思われます。
それぞれがどんな性格でどんな価値観を心の芯に持っているのかなどがよく練られていて、セリフや行動がブレない。
そのため感情移入もしやすいし、登場キャラの多くを好きになれるのではないかと。


次は戦闘に関して。
戦闘システムも独特なので、先に簡単に説明書きしておきます。

敵をターゲット(ロックオン)した状態でその敵に近付けばオートアタック(自動的に通常攻撃)が始まる。
各キャラはレベルアップなどでアーツ(技)を習得し、戦闘中任意のタイミングで使用可能。
アーツにはそれぞれにリキャストタイム(再使用までにかかるクールタイム)が設定されている。
オートアタックを続けるなどでタレントゲージが溜まり、満タンになるとタレントアーツ(各キャラごとの特殊技)を発動できる。
アーツには敵の側面や背面から放つと威力が上がるなどといった「特攻」が存在するものも。
アーツ特攻に成功するなどしてパーティーゲージが溜まると、ゲージ1消費で戦闘不能の仲間を復活、ゲージ3消費でバトルメンバー全員(3人)で続けてアーツを放てるチェインアタックが発動できる(チェインアタックは条件を満たせば最大15回まで連続でアーツを放てる)。
味方が転倒させられたり、または戦闘不能を復活させるとき(パーティーゲージ1消費)などは、その仲間に近付いてBボタンで起こせる。

と、ひとまずはこんなところでしょうか。
敵の背面や側面に移動しながら攻撃したり、味方に近付いて起こしたり。
はたまた敵の範囲攻撃を味方全員で喰らわないようあえて味方から離れたりなど、いろんなことを考えながら戦う戦闘はなかなか面白いです。
この点で不満があるとすれば、その戦闘システムゆえか、雑魚戦でも多少の時間がかかることでしょうか。
結構な実力差がない限りは一撃や二撃で倒すことはできません。
そして、それほど実力差があるような雑魚敵と戦う理由などほとんどない(クエストくらい)ので、つまりは普通に進めていれば最初から最後までずっと、一戦ごとに時間を取られてしまいます。


アーツには回復効果やバフ・デバフを付与するものも存在し、特定のアーツの次の放ったら効果アップだとか、特定のデバフに対してのみコンボを繋げられたりだとか、いろんな種類がありました。
1人あたり8つまでアーツをセットできるのですが、各キャラが最終的に習得できるアーツは大体その倍以上!
自分だけでコンボを繋げたり、仲間のアーツとコンボを繋げられたりといったこともあるので、それぞれにどのアーツをセットするのかはすごく悩ましく。
序盤はともかく、中盤から終盤にかけては寄り道やクエストなどでも手強い相手がゴロゴロおり、戦闘の準備にかける時間は非常に楽しい要素でした。

戦闘の準備と言えば、他にも装備、ジェムに関しても触れておく必要がありますね。
(スキルやアーツレベルアップに関してはこの記事では飛ばします。説明書きが増えるだけで、戦闘準備の楽しさという結論に繋がるのは変わらないためです。)

まず装備に関してですが、これはどちらかと言うと不満点です。
入手個数が多過ぎます!
モンスターのドロップから大量に手に入り、クエスト報酬などでも次々と手に入る。
装備購入のためのお金なんて物語中盤に差し掛かる頃には余るほど残っているのに、お金の使い道がないなどという状況に…笑
装備品が数多く手に入ってしまうと、実際に装備させるときに、どれを装備させようかと選ぶのが大変です。
武器、頭、体上、体下、腕、足、と装備箇所もたくさんありますし、基本的にはどの装備品もどのキャラでも装備できる。
とにかく全員の武具を今より強いものに更新させようとしたときの着せ替え作業がただただ大変でした;;

装備にはスロットが空いているものもあり、空きスロットにはジェムをセットできる。
ジェムにはステータスを上げるもの、オートアタック時に一定確率で敵にデバフをかけたりなどといった追加効果のあるもの、一定のデバフ耐性を得られるものなどなど、たくさんの種類があります。
空きスロットではなく最初からジェムが固定されている装備品もありますし、当然ジェムもスロットもない装備品も存在する。
それを踏まえたうえで装備品を着せ替えるのは本当に大変で…というのは言い続けても仕方がないので置いておいて。
ジェムは、クエスト報酬などで入手できたり、採掘ポイントから手に入れたエーテル結晶を「ジェムクラフト」で任意にジェムに加工したりで集められます。
アーツ同様、戦略によってどんなジェムをセットしようかと考えたり理想のジェムを作るのは楽しい部分ですね。
ただし装備品同様、手持ちのエーテル結晶やジェムの数が増えてくると管理が大変ですが;;
エーテル結晶は採掘以外にもモンスタードロップで手に入りますし、ジェムもよりランクの高いものが手に入ってくるとランクの低いものは邪魔になってくる。
装備品含めて、要らないものはこまめに売る必要も出てきます。


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続いてはキズナグラムと、クエストに関して。
まずキズナグラムですが、固有名を持つ街の人々に話しかけることで、そのキャラが自動登録されます。
そして登録済みのキャラと関わりのあるキャラに話しかけると、キズナグラムに登録されているお互いの間に線が引かれ、その関係性も文字で書かれる。
関係性は例えば「険悪」「ライバル」「一方的な想い」などです。
彼らに関連する特定のクエストを進行・クリアすると関係性が更新され、険悪だった人たちの仲が良くなったりなどといった進展が見られる。
もちろん良い方向に進展するとは限らず、クエストには複数のクリア方法が存在するものもあり、どちらを選んだかによってもどう進展するかが変わる。
固有名キャラから受けられるクエストは、こういった関係性の変化を楽しむこともできました。
クリア方法が複数あるクエストなどは全パターンを見たい人にとっては辛い部分もありますが;;笑

キズナグラムで気になる点は、まず登録可能キャラが結構な人数であること。
固有名キャラの出没する時間帯や場所といった理由もあり、すべての人物を抜けなくキズナグラムに登録するだけでもとんでもなく手間がかかってしまいます。
それに加えてすべての関係性の登録・進展もとなると、同じ人物にも何度も話しかける必要が出てきますし、手間に見合うだけの楽しさがあるかと言われるとなかなか微妙なラインでした。

さて、固有名キャラのクエストは、キズナグラムの進展とは関係のない普通に個人の依頼でも、それぞれ内容があります。
やること自体はおつかいであることも多々ありますが、それでも内容があるだけ楽しめもする。
問題は、固有名のないモブから受注するクエストです!
この数がとんでもなく多いうえ、内容のないおつかいばかり!
面倒ならクリアしなければ良い。と、それができない、あればあるだけクリアしたくなるタイプの人もいるんですよ(ごめんなさい自分のことです笑)。
まあ個人的なことはさておいたとしても、序盤であれば、お金や装備品にも困っていますし、クエストはとりあえずクリアしてみようと考える人も多いことでしょう。
ですが最序盤と言えば、そこでつまらなくなってプレイをやめる人も一定割合出やすいところ。
そんな場面で内容のないクエストを大量に発生させるのはいかがなものかと。
固有名キャラのクエストだけでも結構な数はありましたし、名無しモブのクエストは一つも要らなかったですね。

ちなみにですが、クエスト達成に必要なものがある場所はすべてマップに表示されるので、単純なおつかいクエストであればクリア自体は容易なものがほとんどでした(素材収集なら、拾える場所だけでなくドロップする敵が表示されることも)。
数が多いので、それでも全クリアを目指すとかなりの時間は取られますが。


フィールドの移動などに関して。
フィールドを移動していると特定の場所で「ランドマーク」が自動登録され、エリアマップを開けばランドマークにスキップトラベルできます。
今いるエリア間をスキップトラベルする場合(つまりはマップの読み込みがない場合)のロード時間はほとんどありませんが、マップの読み込みがある場合は10秒ほど。
クエストの目的地などがランドマーク付近にないことも多いため、便利なような不便なようなで微妙なところでした。

フィールドにはいろんな環境が存在し、美麗さも含めて見て楽しむことができます。
水の中に入って、水深に対して身長が高いキャラはまだ走っているのに低いキャラは泳いでいたりといった細かい配慮も嬉しい(一番低いキャラだけ泳いでいる状況、2番目が泳ぎ出しても一番高いキャラはまだ走っている など)。
ただ、広いフィールドがあっても、シナリオと関係のない場所を隅々まで探索するメリットや楽しさはそこまでなかったように思います。
個人的にゼノブレイド2ではそういった楽しさを感じていたので、それと比較してしまったからかもしれません。
時々思わぬ場所にロケーションや秘境があったり、ユニークモンスターが存在するのですが、その数が各エリアにそれほど多くないですし、宝箱など他の嬉しい要素も全然なかったことが要因でしょうか。


その他、システム関連などで良かった点や気になるところを。

・ミニマップやエリアマップを開けば、クエストの目的地と同じように、シナリオの目的地までのルートもミニマップに表示されるので迷わない(そもそもゼノブレ2のようなやたらと複雑な地形は本作には全然ありませんが)

・戦闘中の掛け声や終了時の掛け合いにいろんなパターンがあって面白い。バトルメンバーの組み合わせをこまめに変えながらすべてのセリフを聞きたくなる
・近くに敵がいてそっちの方を向いているのに、ロックオンのターゲット変更するとき遠くの敵にロックオンされることがよくある
・モンスターのフィールドでの初期位置付近で戦闘中なのに、いきなり敵が戦闘を止めることが時々ある(当然削ったHPも満タンになるしバフ・デバフも消えるためやり直しが面倒くさい)

・装備を変更するとキャラの見た目の服装も変わる
・装備の見た目には風変わりなものもそこそこあるが、気になる人は「ファッション装備」(通常装備とは別の、見た目のみに反映される装備)を設定できる
・ゲーム内でプレイヤーが実際に見たことのあるイベントシーンは、シナリオを進めた後に回想として出てくることがある。回想での見た目は当時の見た目のまま。回想中はシリアスなシーンである場合も多く、この仕様に気付く前だとファッション装備も設定しておらず変な見た目で固定されてしまう危険性が高い

・タイトル画面の「イベントシアター」にて、一度見たイベントはいつでも見直せる
・イベントシアターでは時間帯や天候、仲間キャラの服装などを自由に変更できる
・イベントシアターのファッション装備は設定を保存しておけない(一度タイトル画面に戻ってから再度イベントシアターを開くともう、さっきの設定が消えている)
・連続でイベントシアターを見ているときロードが馬鹿みたいに長いことがあった(1分経った時点でゲーム自体を終了させて再起動しています)



ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら8。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)

ぼくはゼノブレイド2が大好きなのですが、シナリオ内容の一点だけを見れば、ゼノブレイドDEの方が断然上だと感じました。
それほど緻密でよく出来ていますし、登場キャラたちのカッコ良さなども相まって、終始目が離せませんでした。

戦闘の面白さなど、他にも良かったところはたくさんある。
それでもゼノブレ2以上に悪いところも目立っていたように思います。
キズナグラムの登録の大変さとか、名無しから受けるクエストの無駄な多さだとか…。
シナリオ内容などでこのゲーム自体が好きになり、どうしてもやり込みまでしたくなったのですが、さすがに苦行が過ぎました;;
しかも取り返しのつかない要素もあったようで、攻略情報などを見ずにそれに気付けたのは中盤から終盤に差し掛かったあたり。
セーブのスロットは3つしかないので予めセーブデータを分けて回避することも難しかったですし、頑張ってやり込んできたのにコンプのためには周回必須になったのは辛いですね;;
(キズナグラムなどは引き継げないので、また全員に話しかけて登録し直さないといけないんですよ…泣)

まあそれでも、クエストなどの面倒な要素はやらないことを推奨したうえで(笑)、このゲーム自体は多くの人にプレイしてほしいなと思える作品でした。
無印をプレイ済みの人には本作も…とは言いづらいですが(追加ストーリーも10時間ほどで、面白かったですがそれだけのためにとなると、ですし;;)。
ゼノブレイド2の方をプレイ済みでも、そうでない人でも、本作に興味を持たれたならぜひぜひプレイしてみてください!




松山勝弘(まつやままさひろ)