PS4ソフト「イースIX -Monstrum NOX-」を、プラチナトロフィー獲得までプレイしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。

イースシリーズ過去作は、PS Vita版イース8と、PS4リメイクのセルセタ・改をプレイしています。


まずは評価から。
ジャンルはアクションRPGです。

アクション操作は簡単で、動きの軽快さに爽快感を感じるタイプのもの。
基本的な部分は前作イース8とほとんど同じでした。
アクションゲームが苦手な人でも比較的容易に操作できます。

セルセタの「魔法具」、イース8の「冒険具」「理法具」は、イース9では「降魔具」と名が変わりました。
これは各キャラに装備する武具とは違ってパーティ全体に効果のある装備アイテム。
移動速度が上がるものやレアアイテム入手確率が上がるもの、地図の埋まる範囲が広がるものなど効果は様々です。
ただ今作では、降魔具でアクションの幅が広がるということはありません。
代わりに「異能」という要素があり、これによってアクションの幅が大きく広がりました。

戦闘要員各キャラごとに1つの異能を持っており、そのキャラが仲間になると、全員がその異能を使えるようになる。
垂直の壁を上れるもの、滑空できるものなど、こちらも様々な効果があります。
装備枠要らずの降魔具みたいなものですね。

そしてその「装備枠が要らない」ことが最も重要です。
例えばイース8だと、冒険具や理法具がないと、ツタを上ったり二段ジャンプを行うことができませんでした。
それらがシナリオ進行ややり込み時のフィールド・ダンジョン探索に必要不可欠であった場合、都度付け替えなくてはなりません。
今作では壁上りも滑空も、複数の異能がいつでもどこでも使えます(前作で理法具だった二段ジャンプに関しては、異能や降魔具とは関係なく最初から使えたりもしますし)。
いえ、一応制限として異能ゲージというものを消費しますが、異能ゲージは時間を置けばすぐに回復するので、あまり不便にも感じないでしょう。
ついでに、異能ゲージの消費を半減する降魔具なんかもありました。


異能によって広がるアクションの、内容自体も重要ですね。
前述した壁上りや滑空を使えば、街中で建物の屋根に上ったり、近くに橋がなくても川の向こうに飛んで行けたりする。
もっと細かく挙げていくことも可能ですが、大雑把に書いてしまうと、街中は立体的な至るところが探索可能でした。
これのおかげでただ走って回るだけでも楽しめますし、宝箱や落書き、蒼い花びらといった収集要素が散りばめられているので、楽しみながら達成感も得られます。

立体的な探索と言うと映像酔いを気にされる方がいるかもしれません。
ぼくも映像酔いしやすい体質ですが、路地裏のような狭いところで上れない壁を無理に上ろうとしたりなど、妙な動きをしない限りはほとんど酔うことはありませんでした。
映像酔いは個人差も大きいと思いますが、ご参考までに。

異能はそれぞれ、戦闘でも便利に使うことが可能です。
一応は異能を使わなくても問題のない相手がほとんどなので、あまり操作が多くなると…という方もご安心ください。
異能を使えばより楽に戦える可能性があったり、いろんな動きを楽しめるというのみなので。


戦闘難易度は5段階から選べ、いつでも設定変更可能でした。
自分に合う難易度で進められ、かつボス戦などで詰まったらいつでも難易度を下げられるのは嬉しいところ。

敵の種類は豊富で、ボスだけでなく雑魚敵も、それぞれ違った攻撃を持っているものが多いです。
ただ、あくまでも前作との比較の話になってしまいますが、ボス戦に変わり種がほとんどなかったのは残念に思いました。
戦闘フィールドは障害物などもなく閑散とした、円形で平らな地面のものばかり。
ボスの攻撃パターンは似たものもあまり出ませんでしたし、すごく楽しめることは間違いないので、個人的に期待度が著しく高かったのかもしれませんが…。


フィールドやダンジョンについて。
本作の部隊が監獄都市ということもあり、街の外にもほとんど出られず、地下や洞窟のような地味なものばかりで見栄えは悪いです。
また、黒い網目状の線がうっすら見えたりと、グラフィックの粗い部分も目立ちます(ダンジョンより広いフィールドで顕著)。
反面、構造の方は、異能を活かせるような立体さや様々なギミックなども含まれ、探索していてワクワクするしっかりとした作りでした。


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続いてはシナリオに関して。
終わってみればよく出来ていたと考えられる内容でした。
最序盤の演出と、その後に「これは一体どういうことなんだろう」と疑問を感じさせ、プレイヤーをしっかりと惹きつけている。
終盤で謎が解明されたときには驚きもあり、クライマックスも良ければ、最後のエピローグも多くの人に好まれそうな終わり方です。

気になる点は、その間の展開。
新たにプレイヤーの興味を引くような謎の追加もなければ、最初の疑問符に関してプレイヤー側でいろいろと考えたり謎解きができるような取っ掛かりやヒントのようなものも出て来ない。
全然話が動かず、だらだらとした内容が続きます。
ラストまでプレイすれば満足できる可能性も高いでしょうが、最初の惹きつけだけではモチベーションが最後まで続かず途中で断念したという方が多少いてもおかしくはありません。
シナリオの進行方法が、各部ごとに基本的にルーチンであったことも、だらけさせてしまう一因でした。



後はシステム関連一式についてです。
まず、地図メニューを開けばショートカット移動が行えます。
触れると全快できる刻印盤やロケーションなどは自身で解放したものだけで、後はショップの一部などにも飛べました。
概ね必要な場所に必要なだけショートカット移動のポイントがあるので、これ自体はすごく便利です。

ですが、ロード時間が少し長めでした。
街中に飛んだときは、アップデート前で15秒ちょっと、アップデート後も10秒以上はかかります。
どうやら街中はすべての区画をまとめて読み込んでいるようで、例えば「中央区」から隣の「正門通り」へ行く際など、エリア移動する必要がないため、ロードの回数は減っているかもしれません。
ただ、街全体がすごく広いので、南の端の区画から北の端っこの区画へなどは当然走って行くわけもなく、ショートカット移動を利用することになる。
そして、クエストなどの都合でショートカット移動を利用することも多くあるので、やり込みをする人ほど待ち時間が長くなり、多少のストレスを感じ得ます。

その代わりと言っては何ですが、取り逃しが起きる可能性が低くなる仕様もありました。
宝箱や落書き、ロケーション、はたまた料理のレシピ入手や掲示板に載らない隠しクエストなど、あらゆるコンプ要素は地図上に専用のアイコンが付きます。
こまめに地図を開いてさえいれば、攻略情報を見ず自力でのコンプもそう難しくはないでしょう。
唯一地図上には表示されない蒼い花びらも、シナリオをある程度進めればある方法で収集が難しくなくなりました。
まあ、クエストで次にどこに行けば良いのかもすべて表示されるせいで、おつかいクエストばかりに感じてしまうというデメリットもありますが…。
他の収集要素については快適であること、クエストには一つ一つ内容があってシナリオをより楽しめるものも多く含まれていることなどから、総合的にはプラスかと。


その他、細かいところですが異能のことを2点ほど。
1つ目は壁を走って上る異能に関してです。
本作はL1ボタンでダッシュでき、壁を上る際は壁に向かってダッシュをするだけなのですが、カメラが少しずれていると、壁を上るのではなく壁伝いに地上を横に移動してしまうことがある。
隣に建物内に入る扉でもあったりすると、エリア移動やロードも挟まってすごく面倒でした。
もちろん、できるだけそういう場所では壁上りをしないという工夫もできますが、必須の場所でそういう危険地帯が一部あったので。

2つ目。
その異能が使える決まった地点に対して瞬時に移動できるというものがあります。
地点に一定距離まで近付けば使用可能になる。
それがすごく高い位置にあった場合、カメラを空の方にググイッと見上げるような形にする必要があり、すごく見づらかったことが気になりました。



ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら7。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)

評価のところには書いていませんが、イース8の迎撃戦にあたる要素が今作にもありました。
次々に出てくる敵を片っ端から倒していき、防衛地点を守る、タワーディフェンスのようなものですね。
今作ではタワーディフェンスだけでなくこちらから攻める(?)ようなパターンもありますが、概ねはイース8の迎撃戦と同じです。

この要素が存在する、納得できる理由はあったので、あること自体には何とも思いません。
が、そのゲーム内での存在理由ゆえ、出てくる敵が同じような見た目・雰囲気のものばかり。
正直なところ切迫さなどもあまり感じませんでしたし、十何回もしているとさすがに飽きます;;
前作で迎撃戦の評判が良かったから今作にも導入したのか、その辺りは憶測にすぎず実際のところはわかりませんが、ひとまず今作のような感じであれば次回作には必要ないかなと。


と、先に気になったところを書いてしまいましたが、総合的に、シナリオやアクション・戦闘も、あらゆるものを十分に楽しめました。
個人的にはアクションの動きの多さなどより戦闘の方が好きだったりするので、ボス戦に変わり種がもっといたらなあとも思いますが…。
ともかく、今作もイース8に負けず劣らずの出来です。
他のたくさんの有名作や人気作などと発売日や発売時期が被ってしまいましたが、後からでも良いので本作もぜひともプレイしてほしいですね。



イースIX-Monstrum NOX-オリジナルサウンドトラック
ゲーム・ミュージック
日本ファルコム
2019-11-22

松山勝弘(まつやままさひろ)