Nintendo Switch版「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」をエンディングまでプレイしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主体的に。

アトリエシリーズの過去作は、アーランド4作、黄昏3作、不思議3作をプレイしています。


まずは評価から。
ジャンルはRPGです。

アトリエシリーズと言えば、まず調合ですね。
フィールドで採取した様々な素材を用いて、まったく別のアイテムを作り出すというもの。
今作の調合システムは、マテリアル環と呼ばれる枠に指定されたアイテムを入れていくだけなので、シリーズが初めての人でも取っ組みやすいでしょう。

マテリアル環同士はいわゆるスキルツリーのように繋がっており、つまりはAのマテリアル環に材料を入れないとBやCのマテリアル環には材料を入れられないという形。
BやCのマテリアル環を解放するための条件を指定されている場合もあります。
また、材料を投入できる最大回数が決まっているので、適当な材料を入れていくだけでは思い通りのアイテムが出来上がらないことも。
より良いアイテムを作るにはそれなりの材料を使わなくてはなりません。

ここで、今作には「アイテムリビルド」システムがあるのも特徴的ですね。
アイテムリビルドでは、出来上がったアイテムにさらに材料を入れることができます。
もちろんアイテムリビルドにも制限はありますが、それでも、シリーズ初めての人でもある程度強いアイテムを作るのはそれほど難しくはない仕様でした。

これで出来上がるアイテムの強さは、普通にプレイして普通にクリアを目指す分には十分すぎる程度です。
ただ、さすがにそのアイテムの性能を完璧に引き出した最強アイテムを作るには至らない。
最強アイテムを作るには、前述したような各種制限とも戦いながら、より良い材料も入手・使用しなくてはなりません。
なので、シリーズ経験者で、制限がある中で最高のアイテムを作り出すことにやりがいを感じるという人にとっても、十分に楽しめる調合システムと言えるでしょう。

そうして出来上がった最強アイテムを試すのにうってつけの環境があるのも嬉しいところです。
クリア後に追加されるボスしかり、クリア後に選択できるようになる、HARDより上の2つの難易度もしかり。
有料ですがDLCでも凶悪な敵やボスが出現する採取地がありますしね。


では、強い敵がいるのは良いとして、今作の新しい戦闘システムはどうなのか。
次はこれについて書いていきます。

画面左にタイムラインと敵味方全員のアイコンがあり、そのアイコンが時間経過とともに移動して行く。
そして行動可能を示す部分にアイコンが回ってきたキャラが行動できる。
ここまでならアトリエシリーズ過去作にもよくあるシステムですが、これがリアルタイム制となっていました。
要するに、行動順が回ってきたキャラが行動選択している間も、他の敵味方すべてのアイコンが動き続けているということです。

プレイヤーは味方のうち1人の行動を受け持つのですが、行動選択に手間取っていると、ばんばん敵の順番が回ってきてしまいます。
操作していない味方キャラの行動も回ってきて、そっちも勝手に行動してくれますが、それでも自身の行動選択に時間をかけるのはもったいない。
なので結構焦らされると思います。

一応、戦闘中はいつでも時間停止して小休止が可能です。
小休止中は、敵味方の耐性や弱点、付与されているステータス変化などの補助効果、および状態異常などを見ることができる。
なので、どの行動にしようかとじっくり考える時間はいつでも取れます。
それでも、小休止を終えて実際に行動を選択する際は、スキルやアイテム画面を開いて使用するスキルやアイテムにカーソルを合わせて…という作業に時間がかかる。
コンマ数秒でも時間を節約しようとすると、スキルやアイテムの並び順をすべて覚えたうえで、一度の入力ミスもせずに高速で各種ボタンを押していく必要がある。
つまり、戦闘でのプレイヤーの操作がものすごくせわしないです;;

味方も勝手に行動してくれるので、雑魚戦だとプレイヤーの総合的な操作数は少なくなって楽という一面もあります。
でもボス戦では、かけられた状態異常やステータス低下があるか、現在の残りHPはなどの情報をこまめに見るために小休止を何度も挟むことになる。
それはつまり、結局はリアルタイムではない、これまで通りの戦闘方式と同じことをすることになるということ。
ならば最初からリアルタイムバトルである必要はなかったんじゃないかと思いますし、もしくは設定でいつでもリアルタイムかそうでないかを変更できれば良かったのにというのが正直なところです。

このシステムだと、ボス戦や強敵戦では、敵に合わせた戦い方やアイテム作りより、とにかく強力な装備やアイテムを作った方が手っ取り早い。
でもこれだと、ギリギリ勝てるかどうかの強い敵でも工夫して戦えばどうにか、という楽しみ方ができません。

雑魚戦は快適になった、スピーディさもあり楽しく感じるかもしれない。
ボス戦はつまらなくなった・面倒くさく感じる。
戦闘部分をシステムだけでまとめると、こんなところでしょうか。



(↑画像クリックでそれぞれAmazonのレビューも確認できます)

続いてはシナリオに関して。
まずは、サブタイトルを「常闇の女王と秘密の隠れ家」とするのであれば、後半の「秘密の隠れ家」の要素は著しく弱いです。
それを作るに至った理由、作るのにかかった労力などの過程、作り終わった後にそれがあったからこそできたことや、その場所や機能などがその後の物語に与える影響など。
秘密の隠れ家をゲーム内に取り入れた必然性が全然ありません。
いえ、ゲームのサブタイトルに「秘密の隠れ家」となければ、これ自体はあっても全然良いくらいには最低限の役割はありましたが…。

「常闇の女王」の方は、逆に十分すぎると言うか、こちらが本筋ですね。
常闇の女王<と>秘密の隠れ家などと、隣に並べてはダメだろうというほどに、重要性がまったく違います。
そして常闇の女王部分だけで評価すると、シナリオは非の打ち所がありません。
内容も良いですし、盛り上げ方や展開の仕方なども申し分ない。
話には引き込まれるしキャラには感情移入もできる。
中途半端に謎を残すことなくすっきりできますし、そのうえで登場キャラたちはこの後どうなるのだろうかと次回作が気になるようにも工夫されている。
中盤から終盤にかけては文句なしの出来でした。

…はい。序盤には言いたいことがあります笑
一つは前述したような秘密の隠れ家に関する部分。
もう一つは、大した場数を踏んでいないのに唐突に強くなりすぎていることです。
プレイヤーがレベル上げをしまくったためにゲーム内の設定より強すぎる、そういう理由での矛盾ならともかく、ゲーム内の設定から強くなるにはそれなりの理由が必要でしょう。

修行をしていた者や錬金術を続けていた者は、プレイヤー側で勝手に納得することもできますが、本ばかり読んでいた者が何故その隣に並べるのか。
せめてナレーション的な文章だけでも、その後もみんなで冒険を続けたなどという前振りがないと。
もちろんできればナレーションだけでなく実際にシナリオ進行の必須行動などで場数を踏んでほしいところでした。

と、不満点も挙げましたが、こういった序盤を乗り越えて最後までプレイすれば、総合的に高い満足度が得られるシナリオ内容だったのではないかと。


後はフィールドに関して。
まずグラフィックは、アトリエシリーズでここまで進化したのかと驚きを隠せません。
半年ほど前に出たルルアのアトリエでも驚いていましたが、さらにきれいになっています。
各フィールドは広めですが、景色などを見ながら走っていると、ああもう到着していたのかとなったことも何度か笑

主観的すぎるのは一文に留めておいて…。
フィールドの移動速度ですが、その広さに対して、ダッシュすればちょうど良いくらいといったところです。
ダッシュでちょうど良いくらいなので、移動速度が上がるアイテムを手に入れるまでは、ある意味ではずっとデフォルトの速さで動き回らないといけないとも言えます。
本来ならこのダッシュの速さだけでも十分なのですが、デフォルトの速さというのはプレイが長くなるほどストレスに感じるもの。
なので移動速度が上がるアイテムの存在はありがたいですし、これからプレイされる方はその存在を頭に入れておいてください。


その他、4つほど。
1つ目はエリアのショートカット移動についてです。

早い段階から、島のあちこちに点在する「案内板」を調べれば、別の案内板のある場所へ移動できるようになりました。
案内板のある場所までは自力で移動しなくてはならないという制限ももちろんありますが、それでもかなり序盤から使えるのはすごく便利です。
アトリエ機能のある自室だけは案内板を調べなくてもいつでも瞬時に帰れましたし。

また、物語全体から見ればまだ序盤なうちに、いつでもどこからでもショートカット移動できるようになります。
以降は各採取地の各エリアにも楽々移動できるので、これまでよりさらに便利です。
ただ、島内の各エリアに入るときに到着する場所が固定で、案内板のある場所を指定できないのが残念。
そのため新たな移動方法と案内板との両方を使うことになるでしょう。

でも案内板の方も島内の移動は万能ではなく、一部のお店までの距離が遠かったりします;;
新しい移動方法か案内板かどちらかだけでも、せめてお店や施設には直接行けるとありがたかったのですが…。


2つ目はクエストに関して。
今作では、何度も受けられる、金策になるようなクエストはありません。
その代わり、すべてのクエストに内容があり、普段はモブとして存在しているキャラたちが個性を爆発させてきます笑
同じキャラから受けられるクエストは話が繋がっていて、他のキャラのクエストをこなしていくとどこかで話が混ざったりすることもあり、いろいろと楽しめました。
ただし、実際にやること自体は、品質などの条件付きアイテムを納品したり魔物討伐だったりと、過去作とほとんど変わりません。

3つ目、モブたちの個性はクエストで見られるだけでも十分ですが、メインキャラたちの特徴がやや弱めな点。
サブイベントなどで背景が語られることを含めて普遍的です。
なんてことない島のなんてことない村、なんてことないあたし…という設定から考えると、全員のこの普遍さは相性が良いかもしれない。
ですが、過去作のアトリエシリーズとも比較すると、特徴の弱さが多少気になってしまいます。


ラスト4つ目は、目的地や次に取るべき行動がわかりづらいことです。
そこそこ頻繫に、あらすじメモの画面を開いて確認しなくてはなりません。
あらすじメモを見ても正確な場所がわからない場合は、マップの目的地マークに沿って移動する必要がある。
でもその目的地マークが今から行くべき場所にないことも稀にあって、その場合は、大まかなヒントを基にですが、手探りで採取地を探さなくてはいけませんでした。



ここからは感想。
10点満点で点数をつけるなら4。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向にも5段階ほどあり、実質 -5~10点間でつけた点数とお考えください。)

戦闘中はじっくりと考えて、都度最適な行動を選択したい。
勝てなかったときに初めて対策装備やアイテムを作る。
そういうタイプの自分にとっては、リアルタイムバトルはあまり合わないようです;;

落ちもののパズルゲームみたいに、入力ミスしてはいけない&コマンド入力を高速で、というのもRPGらしくないと言うか…。
これがABXY(PS4版なら○×△□)ボタンだけで入力を終えられるようなゲームなら、リアルタイムバトルでも良いと思うんですけどね。
Xボタンでスキル画面(Yボタンでアイテム画面)を開いて、そこからさらに方向キー上下で使うスキル(アイテム)にカーソルを合わさなくてはならない。
そのスキル(アイテム)も数が4つとかになってくると、並び順を覚えていても入力ミスの確率が上がってきますし。
そういうわけで、あくまでもぼくの中では、アトリエシリーズでのリアルタイムバトルはなしです;;

まあシナリオ内容や調合システムの面白さがあるので、それでもシリーズ次回作が出たら喜んで飛びつきますが笑
戦闘もぼくがアトリエシリーズを好きな理由の一つだったという点では、どうしても総合満足度は下がってしまいます。

シナリオや調合以外で好きだったのは、クエスト一つ一つに内容があったところ。
モブの中にも好きなキャラが出て来て、何故モブなのか、メインシナリオにも絡んで来いと何度思ったことか笑
ああでも、クエストに内容ができた分、受注場所(かつ報告場所)が点在してしまうのは少し面倒が増えましたね。
過去作だとクエストの受注・報告場所は特定施設で一括というものがほとんどでしたから。

ひとまず、今回感想点を著しく下げた理由はリアルタイムバトルとの相性がほぼすべてです。
なのでぼくは次回作以降は二度とリアルタイムバトルが来ないことを祈りますが…;;笑
これが気にならない、むしろ好ましいという方には十分にお勧めできる作品でした。



松山勝弘(まつやままさひろ)