PS4ソフト「ザンキゼロ」をエンディングまでクリアしてみての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主観的に。


まずは評価から。
ジャンルは…一応RPGになるんでしょうか。
ダンジョンRPGと言っていいものか、RPGと言うべきなのか…。

ダンジョンRPGのようなマス目のフィールドを歩くのですが、敵はランダムエンカウントではなくシンボルで、リアルタイムに行動しています。
シンボルに触れたら戦闘画面に突入するといったこともなく、その場で攻撃したりされたりする。
タイミングよく移動すれば敵の攻撃を避けられるので弱い敵が相手なら被ダメージ0で戦闘することも可能。
と、戦闘の方はある種のアクションRPGとも言える代物です。
なので、総合してジャンルはRPGだと一括りにしてしまうのが良いかと(公式もそのようなことを言っていた記憶が)。


シナリオは、メインの内容は普通です。
他に誰もいない、ある島で目覚めた8人の主人公たち。
サバイバルのために施設を作ったり食料を調達するところから物語が始まる。
生き残るために何をするかや、何故こんな事態に陥っているのかの真相究明など、説明の過不足なく展開していく。
概ね王道な内容だったので、この類の話を他のゲームや小説などでたくさん見ている方にとっては物足りないかと思われます。

ただ細かいところでは、物語にかなり引きつかれる良い部分が多くありました。
それはちょっとした言葉の表現だったり演出だったり、キャラの背景設定やその見せ方だったり。
メインの内容では物語の終盤で肩透かしを食らう場面はあるのですが、オチも良く練られていましたし、シナリオの総合満足度は低くはならないでしょう。

少し気になったのは、このゲームの特性上死亡者がよく出るのですが、死亡しているはずのキャラがシナリオの必須イベントで普通に出て来て普通にしゃべっていたりすること。
システム上仕方のないことかもしれませんが、割り切れはしません。


戦闘は少し微妙。
リアルタイムで戦うこと自体には特に問題ありませんが、戦うことの面白さもそれほどないです。

先に育成・成長に関して触れておきます。
まずは普通に、敵を倒して経験値を得ることでレベルアップと、スキルポイントを割り振ってスキル修得。
そしてこのゲーム特有なのは、「シガバネボーナス」という、死亡したキャラが蘇生させた次の生では強くなるというもの。
罠で死亡した、敵に倒された、寿命がきた、他にもアレルギーの食べ物を食べたとか、状態異常にかかっていたとか、死亡時の様々な状態。
これに対して、特定の属性攻撃による被ダメージが減ったり、寿命が延びたり、アレルギーがなくなったり、耐性を得た状態で蘇生させられます。
どんな条件でどんな耐性を得られるかなど、いろいろと発掘するのは楽しみの一つでした。

次に戦闘自体に関して。

ダンジョン探索中なら、長い直線通路を歩いているときに直線複数マス攻撃をしてくる敵と遭遇したらまずいだとか、部屋で戦うにも複数の敵に囲まれないよう敵の動きや移動方向を気にしたりと、考えながら行動するのは楽しい。
アイテムを拾っている最中に不意打ちされたり、ダンジョンが暗くて遠くを視認できないところで突然突進攻撃してくる敵が目の前から突っ込んできたリと、これらもスリルがあって良い。
全体マップ画面を開いているときくらいは敵の動きもストップしてほしかったですが。
ボス戦は、敵の行動パターンが特徴的だったり、いろんな仕掛けのある部屋での戦闘だったり、飽きずに戦える。

これらを総合して、基本的に防御・回避がメインすぎます。
シガバネボーナスでダメージを減らしたり、敵に不意打ちを喰らわないか慎重になって行動したり、どれも守ることばかり。
雑魚戦でもボス戦でも、敵の攻撃を確実に避け、一瞬だけ近付いて攻撃を当てたらすぐに逃げるのがほとんど。
攻撃は概ね□ボタンを連打するか長押しするかばかりで、弱点を突くこととか、ダメージを上げたり攻撃することの面白さが全然ありません。

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ダンジョンは、迷路構造より、謎解きや仕掛けを解くのを楽しむタイプでした。
特徴的な仕掛けの近くには大抵ヒントがあり、じっくり考えればどうにか自力で解けるだろうという難易度のもの。
謎解きは、脱出ゲームによくありそうなものが多かった印象です。
直接的な言葉では書かれておらず、言葉の裏を読まなくてはいけなかったりと、考えるのが好きな方にとってはなかなか楽しい要素でした。

ダンジョンの見た目や雰囲気は、ホラーテイストなものが多い。
ぼくは個人的に、購入前はサバイバル要素が強いゲームだと思っていたので森のような明るいダンジョンがメインだと考えていたのですが、大体が暗い廃墟の内部です。
敵も、通常の生き物だけでなく、クリーチャというこの呼称から想像できるままの見た目の敵も多くおり、そんなのが暗い廃墟で突然背後に立っていたり目の前に出現したりする。
プレイ中に「うおっ」とか「うわっ」とか、そんな声を頻繁に漏らしました…;;笑
少なくともホラーが苦手な人にはお勧めできない程度にはホラーテイストがあります。
これ自体は個人の好き嫌いの問題なので良し悪しはありませんが。


ダンジョン探索では、スタミナ、便意、ストレスや、各人が持てるアイテムの総重量などに気を配る必要があります。
各人にはHPとは別にスタミナがあり、立ち止まっているだけでも徐々にスタミナが減っていく。
スタミナがなくなると少しずつHPが減っていき、放っておくと当然死亡します。
スタミナを回復するために食料アイテムを使うのですが、今度はこれで便意が溜まっていく(便意も、食料を与えずとも時間経過でも少しずつ増える)。
便意が許容量を超えると、当然起こり得るそのままの事態を起こしてしまい、悪臭という状態が付与されたりストレスが爆発したりする。
悪臭のキャラがパーティにいると他のキャラにもストレスが溜まっていく。
重いアイテムの持ち過ぎで総重量が超えたらその場から移動できなくなったり、総重量内でも一定の重さを超えると、こちらもストレスを感じるようになる。
ストレスは、溜めすぎて爆発すると、次の攻撃を行えるようになるまでのクールタイムが数分増えます(通常のクールタイムは数秒)。
好物を食べさせてストレスを減らしたり、ダンジョン内の各所や拠点にあるトイレを利用して便意を解消したり、アイテムも全員に満遍なく分散したりなど、いろいろと工夫する必要がある。
と、いろんな項目を気にする必要があることを楽しさと捉えるか面倒くささと捉えるか、ちょうど半々に分かれそうなくらいのバランスでした。


間違いなく多くの方が面倒くさいと感じるであろうことは、アイテムの拾い方です。
左スティックでカーソルをアイテムに合わせて、○ボタンで掴んで、△ボタンでアイテムメニューを開いて、手持ちの空き枠に放り込む。
これを一つ一つのアイテムに対してやらなくてはなりません。
1人の総重量が増えて来て別のキャラの手持ちにアイテムを移動する場合も、アイテムメニューを開いて、アイテムを掴んで、他のキャラの手持ちに移動と、一つ一つのアイテムに対してこれを繰り返す必要がある。
(○ボタンで目の前のアイテムに自動的にカーソルは合うのですが、複数のアイテムがあって状況次第で取捨選択する場合は左スティックを使うことになる。また、手持ちのアイテムを他のキャラの手持ちにといったときもそう。)

特に厄介なのは、仲間の誰かが死亡したとき。
装備品やその他持ち物がなくなることはありませんが、すべてその場に落とします。
誰か1人が死亡したら、それだけの数のアイテムを拾い直さなくてはいけないということです。
しかもアイテムを持てるキャラが減るので、単純に各人の手持ち総重量が増えていく。
ストレスが溜まるだけならまだしも、それ以上探索を続行できなくなることもしばしば。
これを危惧して、拠点からダンジョンに持ち込む食料などのアイテムを減らすと、今度は全員の好物は用意できなかったり…とまあこの先はここでは書かなくて良いですね。

拠点に帰還したら、今度は手持ちのアイテムを倉庫に移すのに同じような手間が要りますし。
前述した通り、アイテムを拾ったり整理している最中でも敵に襲われることがあるので、死亡者の持ち物を拾っていたらさらに死亡者が出たなんて事態も起こり得ます。
せめて「アイテムを掴む」という一手間がなければそこまで面倒に感じなかったのではと思うのですが…。


後は、サバイバル要素と言えば、拠点に施設を作成・強化していくことくらいです。
基本的な寝室や調理室のほか、工作室を作って装備やアイテム製造ができるようになったり。
材料を集めてくるだけなのでサバイバル感はあまりありません。
ただ、施設は強化していくとできることが増えるので、材料集めは楽しいと思える人は少なからずいるでしょう。



ここからは感想。
10点満点で点数を付けるなら2。
(評価点ではなく感想点。目安として、8~10 完全にハマった、5~7 かなり楽しんだ、2~4 概ね楽しんだ、1 自分には合わなかった、0 面白くなかった、です。面白くなかった方向へも5段階ほどあり、実質-5~10点間で付けた点数とお考えください。)

好きな点は、シナリオの細かい部分の表現や演出、およびオチ。
それとダンジョン内での謎解きあたりです。

これはあまりと思ったのは、まずは戦闘。
普通のダンジョンRPGのようにランダムエンカウントか、シンボルエンカウントでも良いので通常のRPGのような戦闘の方が良かったかなと。
続いて、ホラーテイストの多さ。
個人的に、苦手と言うほどではありませんがホラーはあまり好まないので;;
最後に、アイテム収集。
これに関しては評価で書いたことが不満のすべてです。

総合的に、面白くなかったと言うほどではない、くらいの感覚でした。

【PS4】ザンキゼロ
スパイク・チュンソフト
2018-07-05

【PSVita】ザンキゼロ
スパイク・チュンソフト
2018-07-05

松山勝弘(まつやままさひろ)