PS4ソフト「戦場のヴァルキュリア4」をエンディング後のやり込みまでプレイしての評価と感想です。
評価はより客観的に、感想はより主観的に。

シリーズ過去作は1作目のリメイクである「戦場のヴァルキュリア リマスター」のみプレイ済みです。



まずは評価から。
ジャンルはシミュレーションRPGです。

架空のヨーロッパにおける大戦を題材とした物語。
よくありそうな話で、シリーズ1作目や派生作「蒼き革命のヴァルキュリア」なども主軸の部分は同じようなものでした。
ですが、それぞれ国同士のいざこざや内政などの違い、および登場キャラの立場や関係性の相違などのため、きちんと独立した話として成り立っています。
なので過去作などをプレイしていても「また同じ話を…」とはそうならないでしょう。
もちろんシリーズ初めての方にとっては言わずもがな。
戦争の怖さや戦争によって失われるもの、メインキャラたちの想いや成長などがしっかりと描かれていて、十二分に楽しめるシナリオ内容です。
ちょこちょことキャラ同士のやり取りで息抜きできるようなエピソードが挟まったり、グラフィックが手描きの水彩イラストのようで、題材の重さに反して重苦しい雰囲気にならずにプレイを続けられるのもマル。


戦闘は自ターンと敵ターンが交互にやってくるシミュレーションですが、このゲーム独特のシステムがあります。
各ターンに決められたCPを消費して、行動させるユニットを選択。
選択したユニットはアクションシューティングゲームのように戦場を動かしていく(行動中はAPというゲージが消費されていき、APが0になったらそれ以上動けなくなる)。
動いている最中、敵の視認範囲および攻撃射程距離内にいると、リアルタイムでガンガン攻撃されてしまう(逆に敵ターンであれば近付いてくる敵に対して勝手にガンガン攻撃を仕掛けます)。
ここで、行動コマンド(ターゲットモード)を出せばお互いの動きがいったん中断。
敵の種類や配置などに応じて、手持ちの銃で撃つか、手榴弾で吹っ飛ばすか、はたまた味方歩兵や戦車を回復したりなどの選択をします。
もちろん、土嚢や壁に隠れたり死角から攻めたりと、うまくユニットを動かすことも重要です。


各兵には種類があります。
例えば偵察兵はAPが多いため移動可能距離が長く、突撃兵は対人戦闘に長けている。
遠くから狙える狙撃兵に、狙撃兵ほどの射程距離はないけど、攻撃が放物線上の軌道をたどるため障害物越しに攻撃できる擲弾兵など。
ついでに1~2台しか出撃させられないけど火力も耐久力も高い戦車や、味方歩兵をまとめて移動させられる装甲車といった変わり種もあります。
どのユニットをどの位置にどれくらい配備するか、どこに移動させ何をさせるのか。
1ターンに
同じユニットを何度動かしても良いのですが、動かすたびにそのターン中のAP最大値が減り移動可能距離が狭まるので、1人に特攻させるか全員で少しずつ戦線を上げて行くかと、考えることは多岐にわたります。

他にも、物陰に隠れて様子見をしたり、ピンチの味方を撤退させCP消費で新たな味方を召還したり。
CPを多く消費して特殊な命令(全体防御アップや1人の対人攻撃アップなど)を下すことも可能。
余ったCPは次のターンに繰り越せる(上限あり)ため、CPのやり繰りもしつつ、準備が整ったら一斉攻撃するといった作戦もありですね。

といった具合に、シミュレーション戦闘のシステムが独特で、面白さも光っている作品です。
そしてこのシステムを最大限活かすようなマップ構造や、敵ユニットの配置が絶妙でした。
戦闘開始直後は敵ユニットの位置は一部しかわからず、味方ユニットを進めて索敵しないといけません。
うかつに進んで行くといきなり敵に遭遇したり、大量の敵ユニットから一斉に迎撃を受けて一瞬で倒されることもある。
ここに敵がいたら嫌だなあとか、あそこを確保できたらかなり有利に戦えるとか、そういった場所にもよく敵兵がいたりします。
でもしっかりと考えながら行動を取っていけば着実に対処できる。
歯応えは確実に感じさせつつ、嫌になるほどには難しすぎない、このバランスが見事でした。


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一つの戦闘をクリアするたび、その評価に応じて経験値とお金を獲得できます。
歩兵のレベルは各兵科があり、自分で好きな兵科に経験値を割り振れる。
よく使う兵科のレベルを集中して上げるかバランス良く上げるかといった選択が可能です。
お金は、新たな歩兵武器の開発をしたり戦車などを強化するのに利用。

歩兵武器ですが、ライフルやマシンガンなどの大雑把な種類で括ると、各兵科ごとに装備できる武器は決まっています。
それぞれの種類では、単純に強化していくだけでなく、火力重視や命中重視などの派生武器を作ることも可能。
派生武器ももちろん強化していくことができるので、派生武器が作れるようになった後は、戦い方によって様々な武器を作ってみるのも面白い。

ただここで少し問題なのが、普通にシナリオ戦闘をこなしているだけだと、すべての派生武器の作成および強化をその時点での上限までできるほどのお金は手に入りません。
そのため、途中で違う派生武器と切り替えたいなと思っても、フリー戦闘を何戦かしないといけないなど容易ではない。
しかも戦闘はこなすたびにお金だけでなく経験値も入ってくるので、これをすべて割り振ってしまうとシナリオ戦闘が楽勝になってしまう恐れもある。
経験値に関しては自身で調整して割り振らずに残しておくということも可能ですが、基本的に派生武器は、最初の選択をそのまま引きずるしかなくなります。
戦闘ごとにいろんな武器を使い分けることが難しいという点は、少し残念でした。

細かい部分だと、武器は一つ開発するごとに、担当者の「できましたよ」「どうですか?」みたいなセリフが挟まります。これがいちいち鬱陶しい…。
単純にその都度○ボタンを押さないといけないですし、武器の総数は結構多いので、最終的に全武器をコンプしたいという方にとっては面倒以外の何物でもありません。
(ちなみに経験値を兵科に割り振るときも担当者のセリフが都度出るので、総数の問題で武器開発ほどではありませんがそこそこ面倒です。)


その他、出撃させられる味方ユニットは、メインキャラたち以外にも固有の名前と見た目があります。それぞれのキャラがしっかりと出来ているだけでなく、戦闘で同じキャラたちをよく使っていると、このキャラたちに関連するエピソード「隊員断章」というものも出てくる。
隊員断章は一つ一つがよく作られていて、メインキャラたち以外にも愛着が湧きやすい。
各戦闘に出撃させられるユニット数にも限度があるので、どのキャラを出撃させようかと楽しい悩みが増えるでしょう。



ここからは感想。
10点満点で点数を付けるなら9。
(人を選ぶと感じたゲームのうち自分には合わなかったゲームは1、普通に面白くないゲームには0を付けます。面白くない方向にも5段階くらいあるので、実質-5~10点の間で付けた点数だとお考えください。)

戦闘システムは本当に好きです!
今作で新たに追加された多少の要素も、この戦闘システムの良さを潰さず、うまく噛み合っていました。
シリーズは前述した通り1作目のリメイクしかやっていませんが、それでも確実に良い方向に進化していると思えます。

戦闘中は、あそこに罠が張られているんじゃないか、敵が複数待ち構えているんじゃないかといろいろ考えながらプレイできてすごく楽しかった。
読みが当たったり戦術がうまくはまると自然とガッツポーズも出ます笑

戦闘にばかり焦点を当ててしまっていますが、シナリオも本当によくできています。
感動的なシーンも多く、ラストは主人公たちと一緒にぼくも自然と敬礼してしまうほどに感情移入もしていたり…笑

惜しかったのは、やはり武器開発時のセリフなど、所々で無意味に詰まらされることです。
メニューを開いたりするのも一瞬詰まった感じになりますし、こういった細かいところがもう少し扱い易くなったらなと。

とは言え、戦闘にシナリオに隊員断章にと、とても楽しんでプレイできています。
エンディング後に追加されるエピソードやフリー戦闘など、隅から隅まで楽しませてもらいました。
頭を使うゲームが好きな方には特におすすめできる一作です。


松山勝弘(まつやままさひろ)