みなさんは、ニンテンドースイッチを購入しますか?
ぼくは発売日購入することを決めています(予約済み)。
ネット通販サイトなどでは、キャンセル者がいたのかたまーに再販されていたり。
こまめにチェックすれば今からでも発売日購入は間に合うかもしれませんね。

今回は何かの購入を考えるときに関連する心理や脳の働きに関して、ニンテンドースイッチを例にお話ししていきます。
少し長めの記事です。


ひとまず、いろんなところからスイッチを買う理由と買わない理由を集めてきたので箇条書きにしてみました。

明かに同じもの以外は、ほぼ同じ意味でも別にしています。
また、ただ褒めているだけやただ貶しているだけで購入するかどうかとは無関係のものは外しました。



「買う理由」
・価格が安い
・スペックが高い
・やりたいソフトがある、または出ると思われる
・他ハードで出ているソフトが移植されやすそう
・持ち運べる
・テレビ、モニターを必要としない

「買わない理由」
・価格が高い
・スペックが低い
・別カラーなど違ったバリエーションのものが出たらそっちを買いたくなるかもしれないから様子見
・過去機との互換性がない
・3DSがすぐに値下げされて悔しい気持ちになったから様子見
・Wii Uではやりたいソフトがあまり出ず購入して失敗したと思っているから様子見

・Nintendo Switch(任天堂スイッチ)を買うなら他のハード(PS4 等)を買う【追記、記事末尾に詳細】



時間をかければ他にも理由があったかもしれませんが、これ以上出してもあまり意味がなさそうです。
これだけ出しても、わかりやすくまとめてしまうと、すごく簡単な答しか出てきません。
結局のところは「お金」と「満足度」の問題なのです。


まずは1つずつ見ていきますね。

最初に、価格「だけ」を見て高い安いと感じるのは、本来は単なる金銭感覚の問題です。
人(金銭感覚)によって、同じ価格でもその価格に対して求める満足度の大小が変わります。
極端に言えば、月1億も稼いでいる人はこのくらいの値段など気にしませんよね、ということです。

が、ここで影響しそうなのは「アンカリング効果」(詳しくはこちら)。
簡単に書くと、この場合は任天堂の過去ハードや他会社のハードの価格と比較されてしまうことです。
公式に価格が発表される前の予想価格との比較もあります。
予想価格などの数値が印象に残り、その数値との差分だけ「高い」「安い」と感じるのがアンカリング効果です。

ですが、価格とは本来、その商品がもたらす価値に対して付けられるもの。
まったく同じ価値を生むものであれば、より安価な方が求められるでしょうが、
今回の例では「同質」ではあっても別物ですからね。
なので、もし他ハードや予想価格との比較をされている人は、自身の元々の金銭感覚とニンテンドースイッチのもたらす価値の方に思考をシフトするべきでしょう。


続いて、性能や機能、やりたいソフトの有無や数などの方は、本来は個々人の価値観の問題です。
人(価値観)によって、同じ内容でも得られる満足度の大小が変わります。

次は「ヒューリスティックの罠」(詳しくはこちら)に関して。
脳は基本的にサボろうとし、実際に普段サボりまくっています。
脳は物事を簡単に結論付けようとする。
それによって実際との乖離が起きてしまうことをヒューリスティックの罠と言います。

ニンテンドースイッチの関連記事でよく見かけましたが、
「他ハードと比べてこういう性能だ、ローンチソフト数はこうで、………、だから売れない」といった内容。
これを見て情報をそのまま受け取り「ああ、売れなさそうだな」と思う。
それだけならまだしも、「売れない」を見て「だから購入しない」と、同じ負の言葉同士を脳内で無意識に繋げてしまうこともあり得ます。

元々その人に「売れないものは買わない」と価値観があるのでなければ、売れるかどうかは購入の決め手とは関係がないはずです。
もちろん売れた方がソフト数も出るでしょうし、同じ額(ハードの購入金額)でより多くの価値を生み出してくれることになるわけなので嬉しい事態ですが。
ある人の価値観ではハード自体が売れるかどうかは直接的な購入理由と関係ないはずなのに、というこの実際の部分との乖離が起きてしまっています。

(少し話はそれますが、この記事はニンテンドースイッチが売れるかどうかを考える記事ではありませんのでそのあたりは無視します。どのラインをもってして「売れた」と判断するのかという面倒な問題もありますしですが、個人的には売れるに1票。まあ2択なので当たっても外れても大したことはありませんね笑)


最後は、物の購入を考える中では少し特殊な話ですが、
過去の類似商品で痛い思いをしたからその懸念が薄まる(またはなくなる)まで様子を見る、という理由。
これには、「人は何かしらの損失をした場合その2倍以上の利益を獲得しなければ納得できない」という心理も関係していそうです。

-1万円の損失があったとします。
これにより、-1の負の感情が起きました。
この後、+2万円強の利益を得たので利益は合計+1万円強。
でも感情は±0にしかなりません。
つまり、怒りや不満もなければ喜びや幸福もない「元の」精神状態に戻るために、損失の2倍以上の利益を欲する。
そういう心理が人間にはあります。

なので、心理要因を除けばその人の本来の購入理由には達している可能性もあるということですね。
(「だから考え直して買ってみれば?」という話ではありませんよ!)

ただWii Uのようなパターンは、「保有効果」(詳しくはこちら)の方も働いて、「元は取った」くらいに考えている方も多いかもしれません。
保有効果は、自分の持ち物には実際以上の価値を感じるというものです。
もちろん、保有効果と関係なく本当にそう感じている場合もあるでしょう。
ですがまあもし思い込みでも、この件に関しては「損をしていない」「満足している」と感じられるのであればその人にとってはプラスに働いている気がします。
(その後に別の物品に対しての冷静な判断が鈍らなければ良いのですが…。)



砕いてみるとやはりどれも、出すお金に対して求める満足感が規定値以上かどうかの問題です。
それが、脳の感情系やおサボりのせいで複雑になったり本来の判断基準から逸脱してしまうことも。

情報に余計に惑わされないようにするには、判断基準を明確にしておくことをお勧めします。
脳のサボり魔特性は、「数値」「表」「グラフ」などを信頼しやすいという効果もある。
なので、本来の判断基準を明確な数値に落とし込んでしまうといった対処法が取れます。


本体価格を、ざっくりと3万円として。

これを「やりたいソフト数」で割れば、スイッチでプレイしたいソフトが何本になれば購入するかという基準になりますね。
10本なら、1本あたりのハード代は3000円。
20本なら1500円、30本で1000円ですね。
わかりにくければこれにソフト代金も足してしまえば良い。
ソフトは売らずに手元に残す派なら1本あたり6000円ほどをプラスして、
9000円ならプレイしたいソフトが10本になれば購入、といった具合ですね。
あくまでも最低ラインの話なので、もっとソフト数が増えれば1本あたりのハード代金も下がっていきます。
それと、コントローラの追加購入など周辺機器のこともついでにハード代に合わせてしまった方が良いでしょう。

ソフト数ではなく「プレイ時間」で割るという選択肢もあります。
これなら、ソフトによっては数百時間プレイしたり、逆に十数時間で終えたりすることもあるという点を考慮できる。
が、これは各ソフトごとにプレイ時間を想定しなくてはならず正確性に欠けそうですね;;

スイッチ本体の寿命で計算する手も一応。
ただ、「何年くらい持ちそう」というのもあくまで予想にしか過ぎませんし、過去ハード(特に据え置き機)を持っていないと予想もしづらそうです;;

やはりソフト本数で考えるのが一番良さそうですね。



というわけで、何かしらの購入を行うときには、かけたお金に対する満足感が求める値に達しているかどうかの一点に集中。
本来の判断基準から逸れさせられないように注意しましょう。

長く書いた割にはまとめも単純になってしまったような…笑


【追記始】

「買わない理由」の方に、スイッチを買うなら別のハードを買うという内容を追記しました。

先ほどまでは、何かを購入する際に他のものは関係ない、比較するのはおかしいといった風に書いています。
ただ、唯一、むしろ比較する必要がある場合が存在する。
それが「機会損失」(詳細はこちら)です。

今回のケースでは、ニンテンドースイッチかPS4か、どちらか一つしか購入するお金がない場合、
または両方購入しても両方のソフトをプレイする時間がない場合など。
一方を取ることでもう一方が取れないという状況に適用されます。

二者択一、三者択一など複数のうち「一つのみ」しか選択できないという状況ですね。
この場合は、むしろ両者を比較する必要があります。
かかるお金に対して得られる満足度の割合が高い方を選択した方がお得なわけですから。

すべて購入可能で、やりたいソフトはすべてプレイ可能(プレイする時間がある)でといった場合には適用されません。
こちらは先に書いた通り、比較するだけ無駄です。

【追記終】



松山勝弘(まつやままさひろ)