「連言錯誤」とは。
情報の多寡によって結論に影響がないにもかかわらず、情報が多ければ多いほど具体的なイメージへの納得感が高まり、イメージしたものの発生(実現)確率を実際よりも高く見積もってしまうことを言います。
例えば、ネットで知り合った人とリアルで初めて会うときなんかがそうです。
SNSなどでその人の詳細なプロフィール情報を隅々まで見て「こんな人だろうな」とイメージしていた人物像が、本人に会ってみたら大きく違っていた。
他にも芸能人を街で見かけたが思ったより優しそうだったとか思っていたより感じ悪かったとか。
異性関係なら友達の紹介やお見合いの席で初めての顔合わせのときによく起こる。
これが「連言錯誤」です。
ゲームだと…。
パワプロのスマホアプリで、ガチャのレア度は上から順にPSR、SR、PR、R、PN、Nとあります。
このうちSR以上の出現率が驚くほど低いことで有名です。
R以上確定のレアガチャでもSRはなかなか出てきませんし、PSRなんて出てきたら最低でもこの先1か月の運をすべて使い果たしたんじゃないかと思うほどです(ぼくは始めて5か月で未だPSRはゼロ)。
NとPNも出て来る通常ガチャなら50回ほど回してRが1枚出れば良い方。
通常ガチャならPRでもレアガチャのPSRなみに出にくい(ぼくは通常ガチャでPRを出したことありません)。
ここで、「通常ガチャでSRが出た!」と画像付きで投稿している人を何らかのサイトで見かけたらどうでしょう。
それも探せば複数人出てきました。
レアガチャの方だと、10連ガチャで10枚のうちSR複数枚にPSRも1枚出てきた画像を貼っていたり。
PSRが2枚同時なんてものも見つかるかもしれません。
こんな神がかりな画像を見かけたとき。
「自分にも同じことが起きるかも」と期待してしまいませんか?
それもいくつもの違う画像を見かければ余計にそう感じてしまうことでしょう。
これが「連言錯誤」です。
宝くじに当選した人のニュースをたくさん見ると自分も当たるかもしれないと思うし、
株で大儲けした人のサイトをいくつも回ると自分でもできるかもしれないと考えてしまう。
「ないない」とはわかっていても期待してしまうのが連言錯誤の恐いところですね。
下手すると期待にとどまらず実際に足を踏み入れてしまいますから。
パワプロアプリくらいならプレイ期間が長いほど、課金するならガチャ回転数が多いほど「大当たりが1度くらいは」の確率は上がりますし、ゲームなので別に期待しても良いと思いますが。
(プレイ期間が長ければ確率が上がるというのは、3年プレイしたからそろそろ大当たり出るだろうという意味ではなく、これから3年プレイするからそのうち1度くらいは大当たりが出るだろう、です。1回1回のガチャ確率が変わるわけではありませんのでご注意ください。)
連言錯誤に対応するには、あまり期待を持ちすぎないことが一番でしょう。
でもまあ、それはそれで人生面白くなくなってしまう感も否めませんが笑
ちなみに、連言錯誤はやられるだけではなく利用する方法もあります。
例えばあなたが家電量販店の店員だとします。
お客が欲しがっている商品が在庫切れで入荷するのに時間がかかることがわかっているとき。
「1か月以内で入荷できると思います」で終わらず、「もしかすると2週間以内かもしれませんし、3日以内の可能性も残っています」と畳みかけるのです。
そう言っておけば早めに入荷する確率をより高く錯覚させることができます。
つまり、早めに入荷する確率が高い(と思っている)なら、お客が「わざわざ別の店に行って購入する手間」を選択する確率を下げることができるというわけです。
あ、でも本当に3日以内に入荷できる可能性が少しでもある場合以外はこれ使わないでくださいね!
それはただの騙しですよ!
(どれだけ確率が低かろうが1%未満であろうが確率自体が存在するならまあ使っても良いのではないかと。際どいですが笑)
このように、「可能性がある」だけで「確率自体が上がっているわけではない」場合でも、それを情報として伝えるだけで連言錯誤が成立します。
とりあえず事実でさえあれば情報をばんばん流せば流すほど確率を高く見積もってくれる、という場面次第では非常に汚い手法です。
意図して使っているわけではなさそうですが、ゲームでもいやなのがありますよ。
2014年の暮れに「2015年秋発売に向け」と銘打たれて開発が開始されたゲームソフトがあるとします。
それと同時に公式サイトも開設されました。
早くなる可能性もあるけど、表現的には頑張っても目標通りの秋、どちらかと言うと遅くなる可能性が高そうですね。
ここで公式サイトに定期的に何らかの情報が更新されていくとどうでしょう。
例えばよくあるのは開発途中のゲーム画面のスクリーンショットや映像を公開していたり。
他にはストーリーやシステム、キャラの情報が追加されていたりです。
慣れていたり詳しい人ならそれとは無関係で「冬になるか2016年になるな」と考えるでしょうが。
そうでない人はゲームの情報が多くなればなるほど予定通りに発売される可能性を高く見積もってしまいます。
もしかすると予定より早くなるかもと考える人もいるかもしれません。
この情報が「定期的に」更新されていくのもミソですね。
「今も頑張って開発を続けてますよ」という情報を暗に示しているからです。
「頑張り続けている」情報を増やされると余計に早く発売される可能性を高く見積もることに繋がります。
ただし使う場合には注意すべきこともあります。
最初にも書いている通り「実際の確率が上がるわけではない」という点です。
家電量販店なら「1か月以内」、ゲームなら「2015年秋」。
相手はこれより早くなると期待しているため、この期限通りだと相手は不満を感じます。
そう。「最初に明示した期限通りでも」です。
まあつまりこっちが仕掛けを用意したとはいえ確率を高く勘違いしたのは相手の勝手と言って逃げられるものではないということ。
ゲームの方はむしろこの期限より遅くなることも多いですからね。
あまり早くなる確率や予定の期限通りに発売されることを期待させすぎてはむしろマイナスではないかと。
(家電量販店の方は別の店に客を取られることを防ぐ目的があるわけですから使っても問題なさそうですが。)
もし利用する場合はこの辺りのバランスを考えてみてください。
松山勝弘(まつやままさひろ)
情報の多寡によって結論に影響がないにもかかわらず、情報が多ければ多いほど具体的なイメージへの納得感が高まり、イメージしたものの発生(実現)確率を実際よりも高く見積もってしまうことを言います。
例えば、ネットで知り合った人とリアルで初めて会うときなんかがそうです。
SNSなどでその人の詳細なプロフィール情報を隅々まで見て「こんな人だろうな」とイメージしていた人物像が、本人に会ってみたら大きく違っていた。
他にも芸能人を街で見かけたが思ったより優しそうだったとか思っていたより感じ悪かったとか。
異性関係なら友達の紹介やお見合いの席で初めての顔合わせのときによく起こる。
これが「連言錯誤」です。
ゲームだと…。
パワプロのスマホアプリで、ガチャのレア度は上から順にPSR、SR、PR、R、PN、Nとあります。
このうちSR以上の出現率が驚くほど低いことで有名です。
R以上確定のレアガチャでもSRはなかなか出てきませんし、PSRなんて出てきたら最低でもこの先1か月の運をすべて使い果たしたんじゃないかと思うほどです(ぼくは始めて5か月で未だPSRはゼロ)。
NとPNも出て来る通常ガチャなら50回ほど回してRが1枚出れば良い方。
通常ガチャならPRでもレアガチャのPSRなみに出にくい(ぼくは通常ガチャでPRを出したことありません)。
ここで、「通常ガチャでSRが出た!」と画像付きで投稿している人を何らかのサイトで見かけたらどうでしょう。
それも探せば複数人出てきました。
レアガチャの方だと、10連ガチャで10枚のうちSR複数枚にPSRも1枚出てきた画像を貼っていたり。
PSRが2枚同時なんてものも見つかるかもしれません。
こんな神がかりな画像を見かけたとき。
「自分にも同じことが起きるかも」と期待してしまいませんか?
それもいくつもの違う画像を見かければ余計にそう感じてしまうことでしょう。
これが「連言錯誤」です。
宝くじに当選した人のニュースをたくさん見ると自分も当たるかもしれないと思うし、
株で大儲けした人のサイトをいくつも回ると自分でもできるかもしれないと考えてしまう。
「ないない」とはわかっていても期待してしまうのが連言錯誤の恐いところですね。
下手すると期待にとどまらず実際に足を踏み入れてしまいますから。
パワプロアプリくらいならプレイ期間が長いほど、課金するならガチャ回転数が多いほど「大当たりが1度くらいは」の確率は上がりますし、ゲームなので別に期待しても良いと思いますが。
(プレイ期間が長ければ確率が上がるというのは、3年プレイしたからそろそろ大当たり出るだろうという意味ではなく、これから3年プレイするからそのうち1度くらいは大当たりが出るだろう、です。1回1回のガチャ確率が変わるわけではありませんのでご注意ください。)
連言錯誤に対応するには、あまり期待を持ちすぎないことが一番でしょう。
でもまあ、それはそれで人生面白くなくなってしまう感も否めませんが笑
ちなみに、連言錯誤はやられるだけではなく利用する方法もあります。
例えばあなたが家電量販店の店員だとします。
お客が欲しがっている商品が在庫切れで入荷するのに時間がかかることがわかっているとき。
「1か月以内で入荷できると思います」で終わらず、「もしかすると2週間以内かもしれませんし、3日以内の可能性も残っています」と畳みかけるのです。
そう言っておけば早めに入荷する確率をより高く錯覚させることができます。
つまり、早めに入荷する確率が高い(と思っている)なら、お客が「わざわざ別の店に行って購入する手間」を選択する確率を下げることができるというわけです。
あ、でも本当に3日以内に入荷できる可能性が少しでもある場合以外はこれ使わないでくださいね!
それはただの騙しですよ!
(どれだけ確率が低かろうが1%未満であろうが確率自体が存在するならまあ使っても良いのではないかと。際どいですが笑)
このように、「可能性がある」だけで「確率自体が上がっているわけではない」場合でも、それを情報として伝えるだけで連言錯誤が成立します。
とりあえず事実でさえあれば情報をばんばん流せば流すほど確率を高く見積もってくれる、という場面次第では非常に汚い手法です。
意図して使っているわけではなさそうですが、ゲームでもいやなのがありますよ。
2014年の暮れに「2015年秋発売に向け」と銘打たれて開発が開始されたゲームソフトがあるとします。
それと同時に公式サイトも開設されました。
早くなる可能性もあるけど、表現的には頑張っても目標通りの秋、どちらかと言うと遅くなる可能性が高そうですね。
ここで公式サイトに定期的に何らかの情報が更新されていくとどうでしょう。
例えばよくあるのは開発途中のゲーム画面のスクリーンショットや映像を公開していたり。
他にはストーリーやシステム、キャラの情報が追加されていたりです。
慣れていたり詳しい人ならそれとは無関係で「冬になるか2016年になるな」と考えるでしょうが。
そうでない人はゲームの情報が多くなればなるほど予定通りに発売される可能性を高く見積もってしまいます。
もしかすると予定より早くなるかもと考える人もいるかもしれません。
この情報が「定期的に」更新されていくのもミソですね。
「今も頑張って開発を続けてますよ」という情報を暗に示しているからです。
「頑張り続けている」情報を増やされると余計に早く発売される可能性を高く見積もることに繋がります。
ただし使う場合には注意すべきこともあります。
最初にも書いている通り「実際の確率が上がるわけではない」という点です。
家電量販店なら「1か月以内」、ゲームなら「2015年秋」。
相手はこれより早くなると期待しているため、この期限通りだと相手は不満を感じます。
そう。「最初に明示した期限通りでも」です。
まあつまりこっちが仕掛けを用意したとはいえ確率を高く勘違いしたのは相手の勝手と言って逃げられるものではないということ。
ゲームの方はむしろこの期限より遅くなることも多いですからね。
あまり早くなる確率や予定の期限通りに発売されることを期待させすぎてはむしろマイナスではないかと。
(家電量販店の方は別の店に客を取られることを防ぐ目的があるわけですから使っても問題なさそうですが。)
もし利用する場合はこの辺りのバランスを考えてみてください。
松山勝弘(まつやままさひろ)
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