現状維持バイアス」とは。

何か特別な不安定要素が入ってきたりしない限りはそのままの状態が良いと感じることです。


カードゲームなどがわかりやすいです。
(現実のトレーディングカードではなく、ゲームのジャンルがカードゲームです。)

設定されている初期デッキは弱いですよね。
最初から戦える敵を相手にしてもいつ敗けてもおかしくない。
もしくは簡単には勝てない相手がいつ出てきてもおかしくない。
「不安定要素」です。

そのため新たなカードを入手したら次々にデッキに組み込んで、強力なカードでなくともいろいろと試してみたりします。
そうやって少しずつ自分なりのデッキ、戦術を固めていきます。
がそうなると、新しくカードを入手してもあまりデッキに組み込まなくなりますよね。

特に戦術丸ごと変わってしまうようなカードはレアカードであろうが強力なカードであろうが絶対に入れません。
入れなくても安定して勝てるようになっているため、むしろ入れて敗けるかもしれないのが怖いのです。
「不安定要素が出て来ない限りはそのままの状態が良い」わけですね。

が、ゲームを進行していくとそのままではどうしても勝てない強敵が現れます。
場合によっては戦術の相性が悪いだけなのですが。

何度戦っても勝てなければ、もしくは戦う前から「この敵はこのままのデッキじゃ勝てなさそう」と考えていれば。
ここでようやく戦法を変えるべく別のカードを組み込んだりデッキ丸ごと組み直したりしますよね。
「不安定要素」の出現によって現状を維持しなくなったわけです。



上記の例では途中、新しいカードを入れなくても勝てる状況になりました。
このとき、新しいカードを入れたり戦術丸ごと変えることになっても理屈上、もしくはなんとなくは「それでも勝てる」ということがわかっていたとします。

変えても勝てることがわかっている。
たとえそんな場合でも決して変えることはありません。
それは「変えなくても勝てる」からです。

そう。
特に変えても変えなくても結果は変わらないであろうときにこそ「現状維持バイアス」がフルに発揮されます。



「んー。別にどっちでも良いけど…。とりあえず今のままで良いです。」

これと似たような場面、みなさんも現実で何度となく出くわしていますよね。
周囲のことだけでなく自分自身が「そのまま」を選択していることも多いはずです。



この、「ある何か」を変えても全体が変わらないなら「ある何か」自体変えない、という場合なら別に何の問題もないでしょう。
なにせ全体が変わらないんですから。

が、「全体が良い方向に変わりそう」「良い方向に変わるかもしれない」というときも現状を維持してしまうのがこの現象の問題点です。
良い方向に変わる確率が高くても現状を維持してしまいがちな人も多くいるからです。


これは以前「」でお話しした「確実性効果」とも関係していますが。

良い方向に変わりそうだということをわかってはいても、それが絶対に確実だと言えない限りは現状を維持してしまいます。


現状維持バイアスは、「何もしない場合は現状が変わらない」というときに「現状を良くできる方法」を見つけても現状を維持させます。

現状を変える場合は「何もしなければ現状が悪くなる」というときだけ「現状を悪い方向に持って行かない方法」を考え変化を望みます。



つまり、現状維持バイアスのせいでせっかくのチャンスを逃してしまっている人が多いと言えるわけです。

みなさんもチャンスを逃した経験を一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
次こそはやってきたチャンスを逃さずに済むかもしれません。





松山勝弘(まつやままさひろ)